WRC2024/07/19

ロヴァンペラ、ラトビア開幕SSでトップタイム

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 2024年世界ラリー選手権(WRC)第8戦ラリー・ラトビアが7月18日木曜日に開幕、首都リガ近郊で行われたオープニングSSを終えてトヨタGAZOOレーシングWRTのカッレ・ロヴァンペラ(トヨタGRヤリスRally1)がトップタイム、2.4秒差の2番手タイムでセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリスRally1)とティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデi20 N Rally1)が並んでいる。

 初開催のWRCラリー・ラトビアはものすごい数のファンが見守るなかでセレモニアル・スタートが行われ、ラリーカーは最初のステージとなるビッケルニエキ・レーストラック(11.13km)のスーパーSSに臨む。

 このサーキットは、2016年から2022年まで、世界ラリークロス選手権のラトビア・ラウンドが行われた国立の競技施設であり、ステージはこのラリークロス場のターマックセクションとまるで高速サーキットのような周辺エリアの道路を組み合わせたコースを2周する。

 通常のラリーなら木曜日の夜に行われる短いステージではタイムもそれほど大きく広がるわけではないが、ラトビアの開幕ステージはスーパーSSとしてはかなり距離が長く、しかも、90%がターマックで残り10%がコンクリート路面というオール・シールドサーフェスをもつため、タイヤチョイスが勝敗を分けることになった。

 トヨタの4台はオープニングステージに向けてすべてオールソフトタイヤを選んだことが奏功し、それぞれが好スタートを切ることになったが、なかでもこのようなまるでサーキットのようなステージで速さをみせたのは、先週、イタリアのイモラ・サーキットで行われたポルシェ・カレラカップ・ベネルクスでの初優勝を飾ったばかりのロヴァンペラだ。

 まだスタート序盤の4番手のポジションでコースを走った彼は、クリーンな路面を走る後方のドライバーの方がいいタイムを出すだろうと予想したが、その後誰も彼のタイムを破ることはできなかった。「このようなコンディションでは、どのタイヤを選ぶべきかをはっきり言うことはできない。OKだったことを願うよ」

 オジエはロヴァンペラから2.4秒遅れの2番手タイムで続き、明らかにステージは成功だったかに見えるが、オールソフトが果たして正解だったのかはわからないと認めている。「タイヤ選択は簡単ではなかった。(後半では)完璧なドライビングができなかったし、タイヤの動きを管理するのが難しかった」

 オジエと同タイムで並んだヌーヴィルはハード2本とソフト2本を組み合わせたのはタイヤチョイスには迷いもあったと語ったが、この戦略は悪くなかったと言えるだろう。「タイヤチョイスは悪くないし、ソフトタイヤはかなり良かったようだ。ステージのスタート時点では誰にもわからなかったから、躊躇してミックスにしたんだ」

 そしてWRCのトップドライバーに続いて4番手タイムで発進したのは、地元ラトビアでのWRC開催を心待ちにしていたマルティンシュ・セスクス(フォード・プーマRally1)だ。今回初めてハイブリッド付きのマシンを駆る彼もまたオールソフトを選び、序盤ではロヴァンペラに匹敵するペースを刻んでいたが、後半でタイムを落としたものの、それでもトップから2.9秒遅れという素晴らしいタイムでスタートすることになった。「素晴らしかった!2周目はソフトタイヤで少しロスしてしまったようだ。でも、みんなに喜んでもらえたよ!」

 5番手にはエルフィン・エヴァンス(トヨタGRヤリスRally1)、6番手には勝田貴元(トヨタGRヤリスRally1)が続き、ここまではほとんどがソフトコンパウンドタイヤを選んだドライバーが占めることになった。

 一方、ハードタイヤをメインとして選んだドライバーはこれほどの大差をつけられるとは想像もしていなかったようだ。ハードタイヤ4本でスタートしたオイット・タナク(ヒョンデi20 N Rally1)はステージエンドでこのチョイスを大きく悔やむことになった。彼はサーキットのテクニカルなセクションのブレーキングでオーバーステアしてしまいフロントからストローベイルにヒット、5.9秒遅れの7番手タイムにとどまった。

 首位から10.6秒も遅れた9番手タイムにとどまったエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 N Rally1)はハードの選択が正しいと信じてスタートしたにもかかわらず、ステージエンドで大きなミスをしたことに気付いて首をうなだれていた。「もっと良いタイムになると思っていたのに・・・。ハードを使えるほど気温が上がっていると信じたかったが、どうやらうまく使えなかったようだ」

 同じようにMスポーツ・フォード勢もハードタイヤを中心とした戦略で臨み、8.4秒も遅れた8位にとどまったアドリアン・フールモー(フォード・プーマRally1)は、ハードでいい走りができたと感じていたようだが、ゴール地点で先行して走ったロヴァンペラに8.4秒も遅れたことにショックをうけていた。「ハードタイヤを履いて、とてもクリーンな走りができたと思う。カッレ(ロヴァンペラ)のタイムに対しても大丈夫だと思ったけど、そうではなかったよ・・・」。チームメイトのグレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマRally1)もトップから11秒遅れの10位となっている。

 このスーパーSSの後、ナイトサービスはなく、ラリーカーは明日の金曜日の朝、リガをスタートしたあとトゥクムスに設けられるタイヤフィッティングゾーン(TFZ)でタイヤ交換を行ったあといよいよ高速グラベルの祭典がスタートする。

 オープニングステージのミルツカルネは現地時間10時、日本時間16時のスタートが予定されている。