ダカール・ラリーの土曜日、48時間にわたって行われた第6ステージを終えて、初優勝への意地をみせたセバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンターT1+)が快勝して総合3位に浮上した。一方、安定した走りを見せていたナッサー・アル-アッティーヤ(プロドライブ・ハンターT1+)は災難に見舞われて大きく後退、3年連続優勝は困難となった。
金曜日にシュバイタ周辺の549kmの48時間のマラソンステージが再開されたとき、ローブはアウディのカルロス・サインツとマティアス・エクストロームの2台のアウディRS Q E-TRON E2 T1Uに続く3番手につけていた。この時点でギャップは5分19秒開いており、残り距離は3分の1しかなかった。
しかし、9度の世界ラリー王者は、わずかな時間で2台のアウディを抜き去り、この日の最初のチェックポイントでエクストロームを引き離すと、うねるような砂丘が続くセクションでサインツの背後につけると、ハイスピードで息詰まるようなバトルのあと前に出た。
ローブはその後も着実にアドバンテージを拡大し、総合首位のサインツに対して2分01秒差をつけてステージ勝利を手にした。
一方、アル‐アッティーヤのダカール6勝目への望みは、このステージで大打撃を受けた。彼のプロドライブ・ハンターは、最後から2番目のウェイポイント手前でステアリングベアリングの破損により急停止し、エンプティ・クォーターで立ち往生してしまった。
最終的にチームの助けでマシンは修理されたが、シュバイタの最終ビバークに到着したときには、すでに2時間45分も失っていた。
アル‐アッティーヤが首位争いから脱落したことで、サインツとエクストロームのアウディコンビを打ち負かす現実的なチャンスを持つドライバーはローブだけとなった。ローブは、金曜日に今大会2度目のステージ勝利を果たしたことで総合3位に浮上したものの、サインツからは29分という大きな遅れとなっている。
ローブは過去7回の挑戦にもかかわらず、ダカールでの総合優勝を逃しているが、アル‐アッティーヤは、ダカールの後半戦でローブが勝利できるよう地〇六メイトとして全力でサポートすると語っている。
「いい一日ではなかった」とアル‐アッティーヤは語った。「僕たちは残り50kmのところでステアリングベアリングが壊れてしまい、修理のために応援を待たなければならなかった。昨日は一番手スタートだったにもかかわらず良い走りができただけに残念だ。いずれにせよ、このまま走り続けて、自分たちに何ができるか見てみるつもりだ」。
「僕の考えとしては、(自分にできることは)セブ(ローブ)がダカールで勝つのを助けることだ。そのために全力を尽くす」
ローブは第5ステージでわざとウェイポイントを逃してペナルティを受け、第6ステージのために有利な出走順を確保した。このステージはバイクライダーたちが迂回路を選択するため、ドライバーたちはあまり先行車の轍を得られない。
結果として、彼が望むよりも多くのタイムを失うことになったが、ステージ初日を確実に3番手で終え、金曜日のステージ優勝につなげることになった。
「僕たちにとって良い1日だったし、問題もなかった」 と9度のWRC王者は語った。
「昨日は非常に長く、400km以上走った。僕は無理をせず、特にダカールの砂丘ではメカニカルコンポーネントに負担がかかるので、マシンにあまり負荷をかけないようにした」
「戦略は正しかった。アウディの作戦がより優れていたのは、9分を失うことで十分な後方スタートを確保したことと、一番手のナッサーがうまくコースを切り開いていたことだ」
「だから、僕が予想していたほど接戦ではなかった。僕たちはこのステージをやり遂げなければならなかったし、勝ったから総合順位も上がるだろう」
「それほど悪くはない。まだ戦いは続いている。全体としては、タイヤレバーと3つのパンクで2回タイムを失った。それを除けば、いい1週間だったが、まだ非常に速いペースで進んでいる」
49歳のローブは、自身とプロドライブが後半戦で勝利に近づくためには、パンクを減らす必要があると語った。
「誰もが最大限の加速をしており、レベルは非常に高い」と彼は語った。「このペースでは、何かが壊れたり、何かが起こったりするのは普通のことだ」
「今のところ、僕たちにとっては全て上手くいっているので、この調子で走り続け、石によるパンクの解決策を見つけるだけだ」
チーム・アウディ・モータースポーツは、ザウバーとのF1プロジェクトに集中するため、2024年がダカール優勝のラストチャンスとなるかもしれないと考えられている。
サインツは61歳とはいえ強靱な精神力とドライビング能力を発揮し、4度目のダカール勝利に向けて最高のポジションにつけている。
「かなり難しいステージだったが、なんとか良い仕事ができたと思う。最後のほうは問題があって、ある場所で立ち往生してしまった。何分かロスしてしまったが、全体的にはいい2日間だった。現時点では満足している。今週の前に首位に立っていたかと聞かれたら、満足していると答えるだろう。でも、まだ先は長い。まだとてもオープンだ」とサインツは語っている。
ドライバーたちはリヤドに移動し、日曜日からラリーを再開する。アル・ドゥワディミ、ハイイル、アル・ウラを経由してヤンブのフィニッシュラインを目指す。