2024年ダカール・ラリーの第4ステージは、セバスチャン・ローブ(プロドライブ・ハンターT1+)が今年初めてステージ勝利を手にした一方、オーバードライブ・レーシングのヤジード・アル‐ラジ(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブT1+)がステージ2番手タイムを奪って総合首位を守った。
ローブは、初日にパンクやサスペンション回りの破損に悩まされ、月曜日も3本のパンクで大幅にタイムを失い、火曜日の第4ステージを総合9位で迎えていた。
サウジアラビアのアル・サラミヤとアル‐ホフフを結ぶ299kmの区間で行われた第4ステージで、ローブは残り100kmの時点ではまだ3位を走っていたが、中盤以降はそのスピードを発揮、第6チェックポイントでアル‐ラジを抜き去り、フィニッシュまでの最後のセクションでステージの大半をリードしたナッサー・アル‐アッティーヤ(プロドライブ・ハンターT1+)を抜き去ることに成功する。最終的にローブはアル‐ラジに1分08秒差をつけてダカール・ラリーにおいて自身24回目のステージ優勝を飾った。
「とてもいい一日だった。スタートがかなり後ろだったので、多くのマシンをオーバーテイクしなければならなかったが、クリーンなステージだった。一時はウェイポイントをミスして30秒ほど戻らなければならなかったが、それ以外はとてもいいステージができた」とローブはふり返っている。
ローブが総合6位に浮上したが、ラリーの3分の1が終了した時点で23分50秒の大差をつけられている。
前日に初のステージ勝利を奪って総合5位まで挽回してきた昨年王者のアル‐アッティーヤは、第4ステージも序盤からリードし、最後から2番目のチェックポイントまでにローブに対して小さいながらも余裕のある24秒のリードを築き、総合首位を守るアル‐ラジとの差をふたたび縮めるかに見えた。
しかし、アル‐アッティーヤはフィニッシュまでの残り36kmで大きくタイムを失い、最初はアル‐ラジ、そして次にローブが前に躍り出ることを許してしまい、最終的にアル-ラジに次ぐ3番手タイムに後退してこの日を終えている。それでも彼は総合3位へ浮上するとともに、総合2位につけるチーム・アウディ・モータースポーツのカルロス・サインツ(アウディRS Q E-TRON E2 T1U)に対しては3分以上の差をつけてフィニッシュ、6分34秒差に近づくことになった。
初日にタイヤを失ってホイールだけでゴールに駆け込み、22位で今年のダカールをスタートしたアル‐アッティーヤだが、表彰台トップという目標に近づいていると力強く語っている。
「簡単ではなかった。とにかくスピードを何とかしようとした。ナビゲーションも簡単ではなかった。ビバークにマシンを運び、明日以降の準備を整える必要があったからだ。ここにいられてうれしい。ステージは本当に速かったし、問題もたくさん起きた。でも、一歩一歩、トップに迫っていると思う」
前日まで3位につけていたマティアス・エクストローム(アウディRS Q E-TRON E2 T1U)は2分間のペナルティを受けて5位へと順位を下げている。これによってトヨタGAZOOレーシング勢のトップとなる4位につけていたルーカス・モラエス(トヨタGRダカールハイラックスEVO T1U)が3位に浮上するチャンスがあるかに見えたが、彼はステージ勝者のローブからは11分遅れとなってしまい、総合4位のままだ。
一方、チームメイトのセス・キンテロ(トヨタGRダカールハイラックスEVO T1U)は68km地点でメカニカルトラブルに見舞われて痛恨のストップ、アシスタンスチームを2時間30分以上も待つことになり、アルティメット・カテゴリー表彰台の可能性はなくなっている。
全12ステージのうち4ステージが終了した時点で、総合首位はアル‐ラジ。ダカールで初優勝を狙う彼は、第1ステージの勝者であるチームメイトのギヨーム・ド・メヴィウス(トヨタ・ハイラックス・オーバードライブT1+)のサポートにも助けられ、2位のサインツをこの日をじわじわと引き離し、4分19秒の差をつけて総合首位の座を固めている。
「50〜60km走ったところでトップに立ち、道を切り開いた。150〜180km手前でスローパンクチャーに見舞われたんだ。タイヤの空気圧が下がり始め、マシンの後ろも下がり、フィニッシュまでに1.4バールになったが、大丈夫だった。最後の100kmでペースが落ちたのはラッキーだったけれど、すべてがうまくいっている。砂漠では24時間、週7日いつでも準備万端だ」とアル-ラジはこの日も笑顔で1日を終えている。
ダカール水曜日の第5ステージはアル・ホフフからシャビタの区間で行われる118kmでの戦いとなる。