WORLDWIDE2023/11/27

中東選手権は史上初めて2人の王者が誕生

(c)Cyprus Rally

 2023年のFIA中東ラリー選手権では、ナッサー・アル-アッティーヤとアブドラー・アル-ラワヒの二人のチャンピオンが史上初めて誕生することが正式に決定した。

 アル-アッティーヤが王座を防衛して歴史的な19回目のチャンピオンに決まるのか、それともアル-ラワヒが新チャンピオンに輝くのか。中東選手権は最終戦キプロス・ラリーを終えてもタイトル争いのデッドヒートに決着がつかなかったことから、タイトルの行方はFIAの決定に委ねられてきた。

 中東選手権は今季、開幕戦オマーン・ラリーでアル-ラワヒが快勝、アル-アッティーヤも第2戦のカタール・ラリーを制し、それぞれの母国ラウンドでの優勝を飾ってシーズンは始まることになった。

 第3戦ヨルダン・ラリーでは二人の対決になったすえにアル-ラワヒが今季2勝目を飾り、アル-アッティーヤは巻き返しを誓った第4戦のラリー・オブ・レバノンでは横転によって優勝を逃したため、タイトルのためには最終戦のキプロス・ラリーで優勝するしかない状況となっていた。

 アル-アッティーヤは、キプロス・ラリーでは最初から最後までリードし、圧勝することになったが、アル・ラワヒが3分遅れの2位でフィニッシュしたことで前例のないシナリオを生み出すことになった。

 アル-アッティーヤとアル・ラワヒはともに選手権ポイントで108ポイントで並び、選手権のデッドヒートの場合のタイトルを決める算定基準となる勝利数も2回ずつで並び、それでも決まらなければ2位の回数での勝負となるが、二人はこちらも2回ずつで並んでいることから、タイトルが決められない状況となっていた。

 このような状況では、FIA リージョナルラリー選手権のスポーティングレギュレーションでは、FIA 自身が勝者を決定すると規定されており、FIAラリー委員会が会合をもつこととなった。

 シェイク・アブドラ・アル-カリファ(中東スポーツ担当副会長)、ヤルモ・マホネン(ラリー委員会会長)、ペター・ソルベルグ(ドライバーズ委員会副会長)、そして元WRCドライバーで現ERCチャンピオンのヘイデン・パッドンで構成される6人の委員会は、FIAラリー部のジェローム・ルーセルとアンドリュー・ウィートリーのサポートを受けて会合をもったが、明確なレギュレーションがなく、他に決定する基準が不十分であることから、タイトルを共同で授与することを決定した。

 また、このような事態の再発を防ぐため、2024年リージョナルラリー選手権のスポーティングレギュレーションを改正する提案がラリー委員会に提出された。選手権のデッドヒートが現在の規定でも決まらなかった際には、最終戦での結果、それでも決まらなければ最後から二番目イベントの結果で決めるという案が、12月に開催されるFIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)に提案されている。