WRC2021/03/27

中止決定のチリ、開催は人々の健康に「無責任」

(c)Rally Chile

 2年ぶり2度目の世界ラリー選手権開催が期待されたラリー・チリが今季のキャンセルを決定した。ラリー・チリ主催者であるラリー・モービルでゼネラルプロデューサーを務めるフェリペ・ホルタは、いまも新型コロナウイルスの流行が続き、人々に高いリスクを与える可能性がある以上、開催を行うことは「無責任」だと中止の理由を述べている。

 ラリー・チリは2019年に初めて世界ラリー選手権の開催を成功させたものの、その年の秋に、経済政策に対する抗議から首都サンティアゴで100万人以上が集まったデモが行われるなど政治情勢が悪化、ラリーの拠点であるコンセプション地方付近にも政治的・社会的な不安があることから11月には翌年のイベントをキャンセルすることを決定していた。

 2021年は唯一の中南米ラウンドとして9月9〜12日に開催される予定でWRCカレンダーにふたたび組み込まれたが、いまだ世界に影響を与え続けている新型コロナウイルスの流行によってヨーロッパとアメリカ間の移動や物流が制限されていることと同時に、公衆衛生上の懸念があることからキャンセルを決定するに至っている。

「パンデミックの発生から1年以上が経過したが、ヨーロッパやアメリカで新たにいくつかの感染者が発生しており、世界中でワクチンの接種が行われている中で、このような規模のイベントを行うことは無責任であり、人々に高いリスクを与えることになるだろう」とホルタ代表は語った。

「今日、私たちは、健康を維持し、最も弱い立場にある人々に配慮し、世界保健機関(WHO)や専門家、地域の保健当局が推奨する保護措置や予防措置を遵守することに全力を注がなければならない。このような努力を協調して行えば、国内外で大きな意味を持つこのラリー・チリを再開することができるだろう。」

 金曜日に発表された声明のなかで、FIAとWRCプロモーターはともにチリがWRCファミリーの一員として将来もWRCを開催できることを約束している。

「FIAとWRCプロモーターは、我々がまだ彼らのファミリーの一員であることを伝えてくれた。世界的に見て衛生状態が許せば、再びこのイベントを開催することができると確信している。コペック社とモービル社による惜しみないサポートに常に感謝している」とホルタは述べている。