WRC2022/01/25

勝田、雪と氷のシステロンのワンミスを悔やむ

(c)Toyota

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 勝田貴元は、ハイブリッドのニューマシン、トヨタGRヤリスRally1でのデビュー戦となったラリー・モンテカルロで、総合5位で迎えた土曜日の最終ステージで犯したコースオフによって素晴らしい結果になるはずだったラリーを台無しにしてしまったことを悔やんだ。

 トヨタGAZOOレーシングWRTネクストジェネレーションから2020年シーズン全戦に挑む勝田にとって、WRCでもっとも長い伝統を誇るラリー・モンテカルロがその初戦となった。

 モンテカルロは例年、雪と氷のトリッキーなコンディションに見舞われるが、今年は雪も多くなく暖かい日が続いたことから異例なほどのドライコンディションとなった。しかし、それでもラリーの週末の山岳地帯でマイナス10度まで冷え込み、ただのドライターマックではなく早朝や夕方はブラックアイスや霜、さらには湿り気をもった路面がドライバーたちを待ち受けることになった。

 このように安定しないグリップの路面でのマシンのコントロールはとても難しくなるが、とくに今回のモンテは、新しいハイブリッドシステムを搭載し、最大で500馬力以上のパワーを発揮する新世代のRally1カーでの緒戦だっただけに、非常にハードルが高いチャレンジとなった。

 勝田はラリー初日の木曜日にナイトステージとして行われたSS1を10番手タイムでスタート、小さなメカニカルトラブルもあったため初日は9位で終えることになった。勝田は金曜日、6つのステージのうち、3ステージでトップ5に入るタイムをマーク、スピードと安定性をうまくバランスさせながら、新しいクルマに対する理解を深めていくことになった。

 勝田、8位で迎えた土曜日のデイ3でも好調を保ち、一時は総合5位まで順位を上げたが、雪とアイスのセクションがある最も難易度の高いシステロンのステージでコースオフ、雪が残るディッチにはまりスタックしてしまう。観客の助けを得て何とか脱出することができたが、結果的に総合13位までポジションを落とすことになってしった。

 それでも勝田は最終日のデイ4でもGRヤリスRally1の理解をさらに深め、SS15とSS16では連続して3番手のタイムを記録、総合8位まで順位を挽回して、このマシンによる初ラリーを終えている。

「ラリーを戦い終えて、とても複雑な気持ちです。土曜日の最終ステージでミスをするまでは、良い週末を過ごすことができていました。ブレーキング時の僅かなミスで、このようにラリー全体が台無しになってしまったので、とても失望しています」と勝田は週末をふりかえった。

「ただし、それを除けば、良い内容のラリーだったといえます。クルマについて多くを学び、どう運転するのがベストか、ハイブリッドのパワーをどのように使ったら良いのかを理解できるようになりました」

「今年のラリー・モンテカルロは例年よりもコンディションがドライでしたが、凍結していたり、湿っている部分があったりと、非常にトリッキーな路面でした。そのような状況でもクルマのハンドリングはとても良く、セットアップとドライビングの両方をかなり改善することができました。土曜日はあのようなことがありましたが、日曜日にはいいタイムが出ましたし、さらに攻められる余地があるエリアもあったので、とてもいい勉強になりました」