WRC2019/01/29

勝田貴元、日本人歴代最上位の13位でモンテ完走

(c)Toyota

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 トヨタGAZOOレーシング・チャレンジプログラムの勝田貴元は先週末に行われたラリー・モンテカルロに初出場、R5マシンによるRC2クラス6位、総合13位で完走を果たし、奴田原文雄が2006年に記録した総合17位を上回り、日本人ドライバーによるモンテカルロ歴代最上位記録を達成して新シーズンをスタートした。

 今シーズン、勝田はWRCイベント12戦と、フィンランド国内選手権2戦の、計14戦への出場が計画されており、その緒戦となるラリー・モンテカルロに初めて挑むことになった。

 長い伝統を誇るラリー・モンテカルロは基本的にはターマック・ラリーだが、山岳地帯の標高が高いエリアでは雪道や凍結路も走行することが多く、路面コンディションが変わりやすい難しいラリーとして知られている。また、タイヤに関してもスノーやターマック用など他のラリーよりも多くの種類が用意され、正しいタイヤ選択も非常に重要となる。ラリー・モンテカルロは他のラリー以上に経験が重要だといわれているため、今回が初出場となる勝田はWRC2へのエントリーはせず、着実に経験を積むことを最優先して臨むことになった。

 ラリー・モンテカルロは24日の夜、フランス南部のギャップで開幕し、その後完全に日が暮れた山岳地帯で4日間にわたる闘いの幕が開くことになった。

 勝田は、2016年以来のコンビ結成となったコドライバーのダニエル・バリットと共に、トミ・マキネン・レーシングのフォード・フィエスタR5を駆って複雑で難しいステージに挑むことになった。また、勝田は今回、セーフティクルーとも、初めてWRCレベルで仕事をして多くの経験を積むことになった。勝田のセーフティクルーは、今シーズン彼のインストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンと、WRCで豊富な経験があるミッコ・マルックラが担当した。

 勝田はセーフティクルーから伝えられた貴重な情報をペースノートに反映し、大きなミスをしないように高い集中力を保ち続けて走行することになり、2回スピンをしたがクルマにダメージはなく、その後も良いペースを保って全てのSSを走り切り、初出場ながらRC2クラス6位で完走を果たした。

 勝田は今回のモンテカルロでは速さを求めず、完走を果たして経験を積むことが最大の目標だったと語った。

「ラリー・モンテカルロは以前観客として観戦したことがありましたが、選手としての出場は初めてだったのでとても難しく感じました。しかし、最後まで走り切り多くのことを学ぶことができました。今回はそれが自分にとってのテーマでしたので、満足しています。このラリーでは自信と、良いフィーリングと、経験を得ることを目標に置き、速さについてはあまり気にしていませんでした。そして、今回きちんと目標を達成できたので、次回はもっと楽に走れるのではないかと期待しています」

「豊富な経験を活かして私を支えてくれたダニエル、ヤルッコ、ミッコに心から感謝します。土曜日には非常に滑りやすい路面で2回スピンしてしまいましたが、低速だったので特に問題ありませんでした。タイヤ選択もこのラリーでは難しい要素のひとつで、正解を得るのは簡単ではありませんが、幸運にも良いアドバイスを受けてどんどんフィーリングが良くなって行きました。とにかくラリー・モンテカルロは非常に特殊な1戦で、他にこのようなイベントは存在しないだろうと思いました」

 勝田のインストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは次のようにコメントしている。

「ラリー・モンテカルロで素晴らしい結果を残した貴元とダニエルに、おめでとうと言いたい。初出場のモンテカルロで、貴元はチームが立てた計画に従いきちんと走った。このラリーでは優勝を考える前に、まずは注意深く走ることを学ばなければなりません。いくつかのステージで貴元はもっと速く走れたはずだが、彼は将来のためにできる限り多くの経験を積むことを望んだが、それは正しかったと思う。2019年のシーズンを良い形でスタートできたので、この流れを次のラリー・スウェーデンにも繋げたい」

 プログラムを監修するトミ・マキネンは次のように語った。

「初出場のラリー・モンテカルロで、貴元は本当に良くやった。大きな問題なくこのような難しいイベントを走り終えたことは、彼の自信と経験値を高めたはずだ。貴元が成し遂げたように、全てのステージを走り切ると、本当に多くを学ぶことができる。次戦のラリー・スウェーデンは貴元にとってより馴染みのあるイベントになるが、今週末の経験が、スウェーデンでもきっと役にたつはずだ」