WRC2020/10/17

北アイルランドでの英国WRC開催が近く決定へ

(c)BP Ford

 2021年の世界ラリー選手権の英国ラウンドは、ウェールズではなく北アイルランドに移動する可能性が高まっており、ベルファストをベースとしたラリー・ノーザンアイルランドとして開催されることになりそうだ。

 FIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)は先週、2021年の世界ラリー選手権カレンダーを発表、全12戦のなかに英国ラウンドが8月19-22日に開催されることを明らかにしている。

 6月に発表されたカレンダー案にはラリーGBが含まれていなかったため、先週開催されたFIAワールドモータースポーツカウンシル(WMSC)で新しいスケジュールが承認されるまで、モータースポーツUKが十分な成果を上げたかどうかについては疑問が残るところだった。

 WRCプロモーターのマネージング・ディレクターを務めるヨナ・シーベルは、モータースポーツUKとの話し合いが間もなく合意に達する可能性があるとし、発表は近日中に行われると述べているが、それはウェールズではなく、北アイルランドで英国ラウンドでの開催となる見込みだ。

 来シーズンはモータースポーツUKとウェールズ政府による3年契約の最終年となるが、当初から3年目にあたる2021年にはラリーGBを開催するための資金が不足するとされ、そのために北アイルランドという新しい開催候補地が名乗りを挙げている。しかし、2020年のラリーGBが中止になったことから、ウェールズ政府が計上した予算が次年度に繰り越されるため、来季もウェールズが舞台になると楽観視されてきたが、ウェールズ政府は新型コロナウイルスの影響から資金提供への難色を示したため、モータースポーツUKも北アイルランド観光局の話し合いを再開したと言われている。

 北アイルランド観光局は今年の春、ラリー・アイルランドが開催された2009年以来となるこのエリアでのWRC開催のために必要とされる200万ポンド(約2億7千万円)の資金提供を行わないことを発表、一度は北アイルランドでのWRC復活の道は閉ざされたかにも見られていた。

 しかし、5月になって、英国において政権を失う可能性があった保守党と北アイルランドのプロテスタント系民主統一党による連立政権が誕生したことで、北アイルランドにおける国際イベントへ資金提供が北アイルランドの自治に委ねられることになったため、WRCを再び北アイルランドに招くための活動が本格化していた。

 北アイルランド観光局の広報担当者は13日、次のように語った。「北アイルランド観光局は最近、WRCプロモーターから新たな見積を受け取ったが、新しい計画が詳細に検討されるまで、さらにコメントすることは不可能である」

 WRCを北アイルランドに招致すべく熱心な活動を続けてきた一人は、北アイルランド最大の都市であるベルファストがある北アントリム州のイアン・ペイズリー議員だ。彼は、2輪・4輪スポーツの商業的価値を強調するために昨年設立された新しい団体「北アイルランド・タスクフォース」の議長も務めており、北アイルランドは100周年の記念すべき年に大きな利益を得ることができるとの考えのもと、現文化長官のオリバー・ダウデンに北アイルランドへの投資を加速するようロビー活動を行ってきた。

 北アイルランドのブランドン・ルイス国務長官は、夏前に行われた北アイルランド問題特別委員会で、「WRCのアイデアは非常に、非常にエキサイティングだ」と認め、政府として北アイルランドにおけるメジャーイベントへの支援への動きは一気に加速している。

 モータースポーツUKのCEOであるヒュー・チェンバースもペイズリーの作業を称賛した。「イアン・ペイズリーは、世界ラリー選手権のすべての恩恵を北アイルランドにもたらすことを長年にわたり提唱してきた。我々は彼の継続的な熱意と努力に感謝している」