TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、世界ラリー選手権(WRC)第5戦ラリー・デ・ポルトガルに、GRヤリスRally2で参戦したが、小暮はメカニカルトラブルで、山本はコースオフによりレグ1の金曜日でリタイアとなった。
小暮と山本は以前、前輪駆動のRally4マシンでグラベルラリーに出場したことはあったが、今回のポルトガルは彼らにとってはRally2マシンで臨んだ初めてグラベルラリーとなった。彼らにとってはラリー・スウェーデンのスノー、クロアチア・ラリーでのターマックに続く、第3の路面でのラリーとなり、全てが新しい経験でした。
だが、二人のチャレンジは本格的なグラベルステージが始まった、金曜日に幕を閉じることになってしまった。
山本は金曜日の朝最初のSS2で横転を喫しリタイアとなってしまった。幸いにして山本にもコドライバーのマルコ・サルミネンにも怪我はなかったが、マシンのダメージは大きく、彼らはそこでラリーを終えることになった。
「自分のペースノートにはひとつ小さなミスがありました。少し楽観的な記述になっていて、コーナーに対して少しだけ高いスピードで入ってしまったのです。その結果リヤが流れてしまい、それを修正することができずコーナーイン側の土手にぶつかって転倒してしまいました」と山本はふりかえっている。
「ラリー本番のコンディションはテストの時よりもイージーなのではないかと思っていましたが、それほど簡単ではありませんでした。とても滑りやすく、グリップの変化も多く、コーナリングラインを維持することがとにかく大変でした」
「このラリーでは多くの経験を積むことができると期待していただけに、こんなに早く終わってしまったことは非常に残念ですが、きっと今回のことから学ぶことができるはずです。気持ちは既に次のサルディニアに切り替わっています。ポルトガルでの自分のオンボード映像とペースノートを分析して、サルディニアではもっといい走りをしたいと思っています」
一方、小暮は順調にステージを重ねていたが、エンジン関係のトラブルによりSS5を終えてリタイアとなった。それでも小暮は5つのステージで貴重な走行距離を稼ぎ、滑りやすい路面でのドライビングを経験したことで、今後に繋がる収穫を得ることができた。
「ポルトガルでは多くの新しい経験をしました。事前のテストはウェットコンディションだったので、シェイクダウンで初めてラフでドライなグラベルステージを走りました。金曜日の午前中は順調で、摩耗したタイヤでのドライビングや、ハードタイヤとソフトタイヤをクロスして履いた状態でのクルマの動きについて学ぶことができました」と小暮は語っている。
「問題が起きるまでは、とても順調だったと思います。ドライビングのリズムもそれほど悪くなかったですし、段階を踏んでステージを重ねるごとにプッシュしていきました。ですので、リタイアするまではいいアプローチができていたと思います。もちろん結果は残念でしたが、多くのことを学ぶことができましたし、いいフィーリングも得られました。次のサルディニアの前にも事前テストがあるので、しっかり準備をして臨み、より良いラリーになることを期待しています」
2人のインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは次のように総評している。
「2人にとって、このラリーがこんなにも早く終わってしまったのは本当に残念なことだ。金曜日の最初のステージでリタイアしてしまった雄紀は大きな失望を感じただろうし、技術的な問題でリタイアしたひかるもそれは同様だろう。彼のラリー序盤はうまく行っていたし、安全なペースで走りながらも学びを続け、速さも十分にあった。しかし、ラリーではこのようなことも起こるし、全ては学習の一部だ」
「今回もクロアチアと同様、事前のテストとラリー本番では天候がまったく異なりテストは大雨に見舞われたため、雄紀とひかるは今回のラリーで初めて、ハードのグラベル用タイヤをこのクルマで履いて走った。新しい路面、未知なるグリップコンディションなど、毎日新しい経験をしながら、新しいことを学んでいるようなものだ。今、彼らは多くのことを受け入れなくてはならない状況にある。次のサルディニアはほぼゼロからスタートするようなものだし、よりチャレンジングなラリーだが、その前にいい内容のテストを行ない、走行距離が伸びることを期待している」
小暮と山本の次戦は、5月31日から6月2日にかけてイタリアのサルディニア島で開催される、第6戦ラリー・イタリア・サルディニアとなる。