2024年全日本ラリー選手権第7戦ラリー北海道が9月6〜8日に行われ、Aheadモータースポーツ・レーシングチームの新井大輝/松尾俊亮(シュコダ ファビアR5)がハリー・ベイツ/コーラル・テイラー(トヨタGRヤリスRally2)に49.1秒差をつけて優勝を飾ることになった。新井大輝はこれが今季5勝目となり、2020年に続き2度目の全日本チャンピオンに輝くことになった。
トヨタGAZOOレーシング・オーストラリアからベイツが全日本にゲストとして初参戦するなど話題の大きい一戦となったラリー北海道。雨上がりの朝となった初日の土曜日、ベイツがSS1パウセカムイ・リバースでトップタイムを奪ってラリーはスタートするも、SS2で速さをみせた新井大輝がベイツを捕らえることになったが、朝のループを終えて二人の差はわずか2.8秒という僅差のバトルになるかにも見えた。
しかし、新井大輝は2回目のループではさらにペースアップ、じわじわとベイツとの差を広げはじめ、23.49kmというラリー最長となるヤム・ワッカ の2回目の走行でベイツを29.1秒も引き離す素晴らしいトップタイムを叩きだし、一気にその差を34.3秒へと拡大してみせる。彼はその後もペースを維持、ベイツとの差を51.6秒まで広げて初日を終えることになった。
すでに優勝争いが期待されえたヘイキ・コバライネン/北川紗衣(トヨタGRヤリスRally2)はギヤボックスの問題でスローダウン、タイトルを争う勝田範彦/木村裕介(トヨタGRヤリスRally2)も3位で迎えたSS7でコースオフのためにリタイアとなり、トップ争いは新井大輝とベイツに絞られることになった。
新井大輝は大きなアドバンテージを持って迎えた最終日、マシンをいたわるようにややペースを落としたが、それでも最終的に49.1秒差をつけてベイツを下し、今季5勝目を飾って、2度目の全日本チャンピオンを確定することになった。
大きなリードを手にして勝利を飾った新井大輝だが、ラリー北海道はけっして楽な戦いではなかったとふり返っている。
「厳しいラリーになるとわかっていました。オーストラリアのハリー・ベイツも速かったです。勝田さんもテストを重ねてきたと聞いてましたし、メーカーが本気で勝ちに来ていることはこちらにもひしひしと伝わってきていました」と新井大輝は自身のソーシャルメディアで語っている。
「僕のシュコダはエンジンとトランスミッションをオーバーホールしたばかりだとはいえ、しょせんは10年前のマシンです。すべてのステージを全開で行ってもトヨタの最新のRally2マシンが相手では勝負できないことはわかっていました。おそらく1kmあたり0.3秒から0.5秒は彼らのマシンの方が速かったでしょう。だから、ほとんどのステージはクリーンな走りを続け、勝負どころで攻めようと賭けていたんです」
大輝は、トヨタGRヤリスRally2のコンセプトマシンで出場したヤリ-マティ・ラトバラのタイムをターゲットにしてヤム・ワッカを勝負どころとする戦略を立てていたと明かした。
「去年のラトバラさんのタイムと比較しながら、抑えるところを抑えて行き、勝負どころのヤム・ワッカで(ベイツとの差を)一気に30秒近く広げることができました」
「ラリー・カムイのあと2カ月もマシンに乗ってないので、1ループ目は運転が雑になってしまっていました。浮き砂利もあったことで凄く踏んでもタイムがでてくれなかったけれど、2回目はライントレースをするしなやかな運転へアジャストしたことでタイムにつながりました。それがいい結果につながってくれました」
また、JN-2クラスは石川昌平/大倉瞳(トヨタGRヤリス)、JN-3クラスは山本悠太/立久井和子(トヨタGR86)、JN-4クラスは内藤学武/大高徹也(スズキ・スイフトスポーツ)、JN-5クラスは松倉拓郎/山田真記子(マツダ・デミオ)、JN-6クラスは天野智之/井上裕紀子(トヨタ・アクアGR SPORT)がそれぞれ優勝を飾っている。
全日本ラリー選手権最終戦M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズは10月18〜20日に岐阜県高山市周辺で開催される。