WRC2014/08/25

波乱ドイツ、ヒュンダイ&ヌービルがWRC初優勝

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 世界ラリー選手権第9戦ラリー・ドイッチュランドは最終日に大どんでん返しのシナリオを用意していた。56.6秒にリードを広げて独走状態を築いていたヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)が最初のステージでリタイアとなり、代わって首位を奪ったクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)も直後にクラッシュに見舞われ、最終日を3位でむかえたティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 WRC)が初優勝を飾ることになった。

 8月24日の最終日は、ブドウ畑のなかを駆け抜けるドロンタル、グラーフシャフトの2ステージを2回ループする4SS/74.60kmの短い一日。夜半に雨が降り朝霧が立ちこめるオープニングステージでまさかの波乱が待っていた。

 優勝が確実視されていったラトバラが、SS15ドロンタルのステージをスタートして14km地点のハイスピードコーナーでオフ、彼のポロR WRCはブドウ畑の斜面をすべるように下り、ちょうど8km地点のステージ脇の石垣の上の転落防止の柵にあたってストップした。

 優勝すればVWのマニュファクチャラーズタイトルの可能性もあり、さらにドライバーズ選手権争いでも彼はオジエの僅差に迫ることができたはずが、一瞬の出来事ですべてが夢と消えてしまった。

 これで首位に立ったのはシトロエンのミーク。彼は後方のヌービルに8.4秒差をつけて初めてラリーをリードすることになり、2001年のリチャード・バーンズ以来、13年ぶりに英国出身のウィナーが誕生することも期待された。だが、彼のリードはその直後に突然終わりを迎える。ミークは次のSS16グラーフシャフトをスタートして2つめのコーナーでアンダーステアを出して壁にマシンをヒット、フロントタイヤを失ってリタイアとなってしまった。

 これで首位は立ったのはヌービル。シェイクダウンで激しいクラッシュに見舞われ、メカニックたちの徹夜の作業でラリーに出場することになった彼は、修理の影響からサイドブレーキなどさまざまな問題に見舞われて初日は5位スタートと出遅れていたが、上位陣のトラブルによってついに首位に浮上、残り2つのステージを慎重に走りきった彼は、家族やベルギーのファンたちが待ち受けるゴールにフィニッシュ、歓喜のWRC初勝利を飾ることになった。

 また、チームメイトのソルドも40.7秒差で続き、ヒュンダイは参戦一年目にして記念すべき初のWRC優勝をチームが拠点を置く地元ドイツで1-2勝利というこれ以上ない結果で締めくくることになった。

 3位にはフォルクスワーゲンの最上位となったアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)が続き、4位にはパワーステージを初めて制したエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタRS WRC)がチームのエースドライバー、ミッコ・ヒルボネン(フォード・フィエスタRS WRC)に6.9秒差をつけてフィニッシュしている。

 エヴァンスの1.2秒後方で最終日をスタートしたマッズ・オストベルグ(シトロエンDS3 WRC)はペースを上げられずに6位となり、かろうじて残されていたドライバーズ選手権タイトルへの可能性を失うことになってしまった。

 また、土曜日に2つのベストタイムで10位まで順位を上げたロバート・クビサ(フォード・フィエスタRS WRC)は最終日のオープニングステージに向かうロードセクションでギヤが3速にスタックする症状を抱えてストップ、ステージをスタートすることなくリタイアとなってしまった。