WRC2023/05/27

通算50回目のウルフ・パワーステージ開催へ

(c)wrc.com/WRC Promoter

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 今年のラリー・イタリア・サルディニアでは、ウルフ・ルブリカンツのサポートが始まってから通算50回目のパワーステージが行われる。WRC公式サイトのwrc.comでは、世界ラリー選手権の各ラウンドの最終ステージで繰り広げられたスリリングな5つの忘れられない瞬間を振り返っている。

 WRCの各ラウンドにおけるチャンピオンシップ・ポイント以外にボーナス・ポイントが掛けられたのは、1999年のツール・ド・コルスが最初だ。この年は他にラリー・フィンランドを含めた2戦で採用され、トップ3ドライバーに上位からそれぞれ3点から1点が与えられた。2011年からはTVのライブ中継のために各イベントにおいてパワーステージが正式に導入されている。2017年にはポイントシステムが改訂されて、トップ5ドライバーに上位からそれぞれ5点から1点が与えられている。

 これまでにパワーステージでの最多勝はセバスチャン・オジエの43回、オイット・タナクとティエリー・ヌーヴィルが20回、ヤリ-マティ・ラトバラが15回、カッレ・ロヴァンペラが13回でそれに続いている(2023年ポルトガル現在)。

 ウルフ・ルブリカンツのサポートによるウルフ・パワーステージがスタートしたのは、2019年の開幕戦ラリー・スウェーデンとなり、2020年のラリー・メキシコではCOVID-19の流行に伴い最終日がキャンセル、パワーステージも行われなかったが、来週のサルディニアで通算50回目を迎える。

 wrc.comでは、心臓が止まるような災難から、激しいバトル、歴史に残る偉業が記録された、5つのウルフ・パワーステージを紹介している。

●タナクの悪夢(2019年ラリー・イタリア・サルディニア)
ウルフ・パワーステージでヒュンダイのダニ・ソルドに26.7秒のリードを築き、タナクの勝利はほぼ確実と思われた。しかし、彼はパワーステアリングを走行中に突然故障、あわやコースオフしそうになりながらも残り1kmをどうにか走り切ったが、2分以上の遅れをとってしまい1位から5位まで後退した。

●エヴァンスvsオジエ(2021年クロアチア・ラリー)
初開催のクロアチア・ラリーでは、トヨタのチームメイトであるエルフィン・エヴァンスとセバスチャン・オジエが激しいバトルを繰り広げた。2日間にわたり激しい接戦を繰り広げた2人は、わずか3.9秒の差をつけてエヴァンスがウルフ・パワーステージを迎えたが、最終コーナーで芝生に乗り上げてしまいタイムをロス、WRC史上3番目の接戦となる0.6秒差でオジエが逆転勝利を飾っている。

●ローブvsオジエ(2022年ラリー・モンテカルロ)
モンテカルロ・ラリーはWRCの王冠を飾る宝石であり、2022年大会もその期待を裏切らないものとなった。この大会では、WRCのハイブリッド時代が幕を開けただけでなく、WRCのレジェンドであるセバスチャン・オジエとセバスチャン・ローブの激しい対決が行われた。最終日、オジエは圧倒的なリードを築いていたが、パンクのために土壇場でローブがトップに立つことになった。オジエは逆転勝利を諦めず、パワーステージで激しい勢いで追い上げたが、ジャンプスタートによる10秒のペナルティを課されて惜しくも勝利を逃すことになった。それがなければ0.5秒という僅差での彼の勝利だったことになる。ローブは数学教師のイザベル・ガルミッシュとの初コンビで、47歳という史上最高齢でのWRC勝利を果たし、ゴールでは大きな祝福を受けた。

●ラッピ、フロントガラスがないマシンで激走(2022年ラリー・フィンランド)
2022年ラリー・フィンランドのパワーステージでエサペッカ・ラッピが見せた走りは、世界中のラリーファンの心を捉えた。ラッピとコドライバーのヤンネ・フェルムは、最終日に横転してトヨタGRヤリスのフロントガラスを失ったものの、総合3位を諦めなかった。ラッピとフェルムは作業用のゴーグルを風よけのために装着してパワーステージをスタート、走行中にはカーボン製のルーフも吹き飛んだが、二人はどうにか3位でフィニッシュ、ゴーグルを装着したままポディウムに立つことになった。

●ロヴァンペラ、史上最年少王者に(2022年ラリー・ニュージーランド)
2022年ラリー・ニュージーランドのジャックス・リッジ・ウルフ・パワーステージでは、カッレ・ロヴァンペラが初のドライバーズ選手権王者に輝くという、WRC史に残る瞬間が目撃されることになった。シーズンを圧倒してきたロヴァンペラは、WRC参戦50戦目となったニュージーランドでのパワーステージでも圧巻のベストタイムを刻み、シーズン6勝目を達成、自身初のワールドチャンピオンを獲得することになった!この結果、ロヴァンペラは、1995年に「27歳109日」で英国初のワールドチャンピオンに輝いたコリン・マクレーの記録を破り、「22歳1日」の史上最年少のワールドチャンピオンを獲得した。2002年のマーカス・グロンホルム以来、20年ぶりのフィンランド出身のチャンピオンとなった。