ヨーロッパ・ラリー選手権第6戦バルム・チェコ・ラリー・ズリーンは、地元期待のドミニク・ストジテスキー(シュコダ・ファビアRS Rally2)が雨によって劇的な展開となったレグ1を制してERC初優勝に向けてトップに立っている。
チェコ・ラリー・ズリーンは金曜日の夜、暗闇のなかで行われたズリーン・スーパーSSで開幕、土曜日から本格的な競技がスタートすることになった。チェコ選手権で今季2勝を飾って選手権をリードする注目のストジテスキーは、このスーパーSSをシモン・ワグナー(シュコダ・ファビアRS Rally2)に続いて2番手タイムでスタート、土曜日のオープニングステージとなったSS2でブレーキトラブルのため3位へと後退したものの、SS3でラリーをリード、左フロントタイヤの摩耗に苦しみながらも、2位のエリック・ツァイス(シュコダ・ファビアRS Rally2)を10.1秒リードして朝のループをトップで終えることになった。
ツァイスにとっては不運なスタートとなっていた。2021年のチェコ・ラリーでは初のERC優勝を目前にして最終ステージでクラッシュ、それ以降も速さをみせながらも不運によって優勝にとどいていなかった彼は、金曜日の朝の予選ステージでトップタイムを奪い、今度こその勝利への強い思いを見せていたが、タイムコントロールへの遅着というミスによって20秒のハンデを課されて17位で土曜日をスタートしている。
しかし、ツァイスは素晴らしい速さをみせて、SS2以降3連続のベストタイムでストジテスキーに10.1秒差の2位まで挽回して朝のループを終え、さらに午後のループでも2連続でベストタイムを奪い、SS7を終えた時点でストジテスキーに4.2秒差まで迫ることになった。
しかし、驚くべき追い上げをみせて、逆転さえ可能なところまで迫ったツァイスに悪夢が襲い掛かる。SS8ラジノチョビツェは突然の豪雨に見舞われ、レインタイヤのスペアを搭載せず、おまけにハードタイヤしかもっていなかったツァイスは一番手で水たまりだらけのステージで苦戦、ここで40秒あまりもタイムをロス、首位のストジテスキーからは46.`1秒遅れの総合4位に後退してしまった。
ストジテスキーもレインタイヤを装着していなかったが、ソフトコンパウンドに救われてここではトップタイムをマーク、2位へと浮上したワグナーに21.1秒差をつけてリードを守ることになった。「エリックは飛ばしていたし、僕たちもこれ以上何もできなかった。僕らにとって最も重要なのはチェコ選手権でのポイント獲得だから、冷静になろうと努めた。それがうまくいった」とストジテスキーは語った。
ワグナーはウェットタイヤとドライタイヤをクロスに装着して追い上げるチャンスもあったが、フロントガラスが曇ってしまうトラブルに見舞われてしまいながらも、2番手という素晴らしいタイムでピンチを切り抜けている。
この日の最終ステージとして予定されたSS9は天候悪化により安全上の理由でキャンセルされたため、ストジテスキーはワグナーをリードし、明日の最終日にERC初優勝を賭けて臨む。そして、ハンコックに初のERC勝利をもたらすことができるだろうか。
チェコ・ラリー・ズリーンで通算12回目、9年連続の優勝への期待がかかっていたヤン・コペツキー(シュコダ・ファビアRS Rally2)は、首位のストジテスキーから0.7秒差の2位でSS5を迎えたが、石がかき出されているセクションで左フロントタイヤのデフレーションにより総合15位まで後退してしまった。「ライン上に何かがあって、それにぶつかってしまったんだ。すぐにパンクして、タイヤを交換しなければならなかったんだけど、交換がかなり遅かった」とコペッキーは語った。
さらにコペッキーは雨のSS8でもグラスエリアにコースオフして右フロントタイヤをパンクしたものの、どうにか10位につけている。
優勝候補の一人が消え、アダム・ブジェジーク(シュコダ・ファビアRS Rally2)が3位で初日を終えることになった。
0.2秒差の4位にはツァイス、その6.7秒後方の5位には、フィリップ・マレシュ(トヨタGRヤリスRally2)、ERCポイントリーダーの座を狙っているマティユー・フランセスキ(シュコダ・ファビアRS Rally2)が6位で続いている。
選手権リーダーのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)は雨となったSS8で2本のダメージタイヤ交換を余儀なくされたため、7位から18位へと転落してしまった。