ERC2024/07/09

2期生山本、高速エストニアを12位フィニッシュ

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの2期生である山本雄紀が、7月5日から7日にかけてエストニアで開催された、FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第4戦ラリー・エストニアに、トヨタGRヤリスRally2で参戦、初出場の超高速グラベルラリーで全ステージを走破し、総合12位でフィニッシュした。

 ラリー・エストニアは近年、FIA 世界ラリー選手権(WRC)のレギュラーイベントとして開催されてきたが、今年はERCの第4戦として行われた。ERCでは、GRヤリスRally2を含むRally2カーがトップカテゴリーに位置づけられ、非常に速く才能豊かなドライバーたちがステアリングを握り、毎戦激しいトップ争いが繰り広げられている。

 ラリー・エストニアのステージは非常にハイスピードで、流れるような高速コーナーが続くという点で、ラリー・フィンランドと多くの共通点がある。しかし、フィンランドと比べると全体的に道幅は狭く、テクニカルなセクションも多くある。また、路面は比較的軟らかく砂状のセクションも多いため掘れやすく、同じステージを2回目に走行する時には深く、大きな轍が刻まれた路面での戦いになる。

 チャレンジプログラムの2期生の小暮ひかるは、前戦WRCラリー・イタリア・サルディニアで骨折した鎖骨の回復過程にあり、残念ながらラリー・エストニアに出場することはできなかったため、ラリー前のレッキには参加し、間もなくテストや競技にも復帰できる見込みとなっている。そのため今回は山本のみがRally2カーで初めての超高速グラベルラリーに挑んでいる。

 ラリーは金曜日の夕方にタルトゥでのスーパーSSで競技がスタートし、土曜日は9SS合計117.84kmのステージが行われました。山本はコドライバーのマルコ・サルミネンと共に、20台のRally2最後方となる20番手で出走。非常にバリエーション豊かなコンディションで多くの経験を積んでいる。特に、4つのステージのリピートとして2回目に走行した際には深い轍が刻まれ、非常にチャレンジングなコンディションでの走行になった。それでも、山本は数ステージで好タイムを記録し、総合13位で一日を走り切っている。

 最終日の日曜日は出走順が逆になり、山本は3番手スタートとなったため、前日とは異なるコンディションを経験することになった。出走順が早いドライバーたちは、路面の表層を覆うルースグラベル(滑りやすい砂利)を掃き飛ばしながら走ることになり、山本もそのひとりとして滑りやすい路面での対処方法を学ばなければならなかった。

 また、ステージの一部にはマディな路面もあり、特に最終のパワーステージは雨が土砂降りとなったことで非常に難しい路面コンディションになっている。それでも、山本は問題なく最終ステージも走破し、総合12位で初出場のラリー・エストニアを終えている。

「今回はとても良い戦いができたと思います。ここ数戦は自分にとってあまりうまく行かなかったので、このラリーを良いフィーリングで終えたいと思っていましたが、うまく行ったと思います。特に、日曜日は本当にトリッキーなコンディションでしたが、それでも全ステージを走り切ることができましたし、それこそが自分にとって最も重要なことだったので、とても満足しています」と山本はふりかえっている。

「土曜日は、天候的な面に関しては問題なかったのですが、路面には非常に大きな轍がありました。常に目を光らせてラインを追い、即座にアジャストするいい練習になりました。そして、クルマは轍にうまくマッチし、信頼して走ることができましたし、非常に堅実に一日を戦うことができたと思います」

「日曜日は、普段とはやや異なる状況でした。路面を覆う大量のルースグラベルを掃き飛ばしながら走る必要があったのですが、それもまた良い経験になりました。それほどハードにはプッシュしなかったのですが、それでもペースは悪くなかったですし、安定していました。ERCは競争が非常に激しいので、上位選手のオンボード映像のデータを分析して改善につなげることができます。全体的には、ラリー・フィンランドに向けて良い学習の機会になりましたし、良い準備ができたと思います」

 インストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、山本のエストニアについて次のようにコメントしている。

「困難なイベントが2戦続いた後のこのイベントは、雄紀にとっていいラリーになったと思う。このようなステージのキャラクターや地域的な特性が、雄紀にとってより馴染のあるものであることは分かっていたが、コンディションは本当にトリッキーで、かなり頻繁に変化した」

「このラリーを完走したことで、雄紀は様々なコンディションで多くの良い経験を積み、長い距離を走ることができた。それは、将来このラリーに再び出場するチャンスが訪れた時のことを考えると、大きなプラスになるはずだ。タイムがとても良かった区間もあったし、より難しい区間ではペースが少し落ちたが、これまでのイベントよりは良いペースをキープすることができていた」

「忍耐強く、十分に制御されたスピードで走れるようになったのは良いことだが、同時に、この厳しい戦いの場で、最も速いドライバーたちのレベルを知り、まだまだ道は遠く、やるべきことが多くあることを実感したと思う。今回、ひかるが出場できなかったのは残念だったが、少なくともレッキは行うことができた。何よりも重要なのは、彼が順調に回復しており、ラリー・フィンランドと、その事前テストに参加できるということだ」

 山本と小暮の次戦は、8月1日から4日にかけてフィンランドで開催されるWRC第9戦ラリー・フィンランドとなる。2人がこのWRC屈指の超高速グラベルラリーに出場するのは、昨年に続き2度目となるが、去年はローパワーなRally4カーでの出場であり、Rally2カーによるWRC2出場は今回が初となる。