WRC2024/06/17

3期生の後藤と松下が欧州でラリーデビュー

(c)Toyota

(c)Toyota

(c)Toyota

 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの3期生、後藤正太郎と松下拓未が6月14〜15日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第5戦ポフヤンマー・ラリーに参戦、欧州でのデビュー戦で2台揃って完走することになった。

 後藤と松下は、2023年にWRCチャレンジプログラムの3期生として選ばれ、今年の初めから拠点をフィンランドに移してTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの講師陣のもとトレーニングに取り組んできた。

 2人ともに日本でのモータースポーツ経験は限られており、特に後藤にとっては今回が人生初のラリー参戦、松下にとっても日本で参戦した一回を含め、今回が2度目のラリーとなった。今回の参戦までに、2人はそれぞれ経験豊富なフィンランド人コドライバーとペアを組み、ペースノートのトレーニングと今回のラリーでも使用した2輪駆動マシンのルノー・クリオRally4での走行テストを重ねてきた。

 ポフヤンマー・ラリーはフィンランドの典型的な高速のグラベルラリーで、フィンランド西部に位置するセイナヨキ周辺の9SS/123.53kmで争われたが、リピートステージは1ステージのみで、8つの異なるステージで構成されていたため、クルーはラリー前のレッキで、たくさんのページ数のペースノートを作成することが求められた。

 デビュー戦に向けて、全てのステージを走り切り、できるだけ多くの経験を得ることを目標に掲げた後藤と松下は、ともに初日となった金曜日夜の3ステージで堅実な走りを見せると、コンディションが変わり続ける難しい状況の中、土曜日も午前3ステージ、午後3ステージを大きなトラブルなく走り切り、松下はSM3クラス9位、後藤がクラス10位で完走を果たした。

後藤正太郎:「人生初のラリーはとてもエキサイティングで楽しかったです。クルマへのダメージなくゴールに着いた時は本当に嬉しかったです。コンディションが常に変わり続けていたことで、激しい雨や大きな轍、とても泥の多い道など、多くのことを経験し、学ぶことができました。一番難しかったのは、ペースノートを作るときに勇気を持つことと、一貫性を持たせることでした。今回作ったノートは、いくつかのステージで慎重になりすぎてマージンが大きすぎた箇所や、その逆もありました。トップ選手とのタイム差からも分かるように、ラリーを戦いながら、改善・成長ができたと思います。参戦を通してラリーで重要なことがわかり、さらに良くなるためにすべきことを見つけることができました」

松下拓未:「簡単なラリーではありませんでした。今回は走り切ることが重要だったので、フィニッシュに辿り着いた時はとても嬉しかったです。ですが、安全に寄りすぎていたわけでもなく、自分が今持っているものを出せたと感じています。難しかったのは、長い直線の後でコーナーが見えないとき、正しいブレーキングポイントを見つけることでした。初日は特にそこに苦戦しましたが、2日目はかなり良くなってクルマの挙動にもペースノートにもより自信を持つことができ、一つのラリーを通してたくさん改善できたと思います。今後、テストを続け、より多くの道、コンディション、路面を経験することで、もっと速く、安定した走りができるようになると思います」

 チーフインストラクターのミッコ・ヒルボネンは、次のようにコメントしている。

「後藤と松下にとって良い初戦になったことを嬉しく思う。今回私たち講師陣が求めていた唯一のことは完走することだったので、彼らはトラブルや大きなミスなく、きちんとそれをやってくれた。ステージ毎に上位のドライバーたちとのタイム差を比較していたが、彼らはフィンランドで何年も多くのラリーを走っていることを考えると、二人の初めてのラリーにしては今後の期待が持てる結果となった。コンディションが変わり続け、時にはとても激しい雨も降ったが、後藤・松下はテストでは雨は全く経験したことがなかった。二人にとって新しいことばかりでたくさん学びがあった。テストでは同じ道を繰り返し走るので道を覚えいるが、ラリー本番ではそうは行かないものだ。ペースノートの重要さにも改めて気づいたはずだ。彼らは物事をとてもうまく分析し、どこの領域をより改善すべきかということをきちんと理解できていたと思う。初めてのラリーに対するプレッシャーも二人ともうまく対処できていたし、今後に向けてポジティブな面がたくさんあった」

 後藤と松下の次戦は、7月26〜27日にフィンランドのタンペレを拠点に開催されるHYAセンター・ラリーとなる予定だ。典型的なフィンランドの道で行われるため、ラリー・フィンランドの準備として、WRCのトップチーム・トップドライバーも参戦することが多いラリーだ。