TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムの3期生、松下拓未(写真)と後藤正太郎が10月5日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第7戦ラリー・キテーに参戦し、松下がSM3クラス6位で完走、後藤はリタイアとなった。
フィンランド東部に位置する町、キテーを拠点に開催された本ラリーは、土曜日一日で10SS/104.53kmを走行するグラベル(未舗装路)イベントだ。後藤と松下は彼らのキャリアにおいて最も高速なラリーに挑んだ。FIA世界ラリー選手権の一戦、ラリー・フィンランドの舞台であるユヴァスキュラの道によく似た高速で流れるステージには多くのジャンプや起伏があり、高速コーナーをスムーズに切り替えることでペースを最大化する必要があった。
松下は、最初のステージでテクニカルトラブルが発生したことにより、上位でラリーを終えるチャンスを早々に失いました。しかし松下はロードセクションで車両を修理を試み、タイムコントロールへの遅延によってタイムペナルティは負ったものの、ラリーを継続している。トラブルが解消した後の松下は素晴らしいペースで走行し、全10ステージのうち2番手タイムを2度、3番手タイムを2度記録するなど、終始フィンランドの優れた若手ドライバーたちに並ぶペースを維持し完走した。
後藤はSS1の高速コーナーで小さなミスによってスピン、残念ながらリタイアとなっている。
後藤正太郎:「最初のステージでリタイアとなり、経験を積む機会を失ったことが残念です。時速150kmくらいで走っていたある左コーナーで対応ができませんでした。今回のような高速ラリーでは積極的に攻めないとすぐに大差をつけられるリスクがあるので、ある程度覚悟が必要だとは思っていました。シーズン初めは、限界を探れるほどプッシュできていないと感じていたので、今回それに挑戦できたのはポジティブな面と言えます。リタイアは今年初めてで、このようなミスもドライバーとしての成長の過程として必要なことだと思います。自分自身のラリーキャリア初年度、たくさんのことを学ばせていただきました。特に予想以上に良いペースで走ることができたラハティでのラリーが印象的で、自分のペースノートに従って運転する自信がつき、自分が進んでいる方向に対して良い感覚を得ることができました」
松下拓未:「これまでのキャリアで最高のラリーでした。運転しているとき非常にフィーリングが良く、今回の大きな進歩は自分が作ったペースノートの質で、リズムを保つのにとても役立ちました。ペッカと共に作ったノートを信頼できたことによって、これまでより路面のイメージが正確にできるようになり、思い切って攻めることができました。大きな成長を実感できる素晴らしいシーズンでした。最初のポフヤンマーでのラリーではコーナーを切り抜けてゴールにたどり着くことだけに集中していましたが、今はどうやったらペースを最大限にできるかを考える余裕があります。プログラムの最初、フィンランドのトップドライバーたちと競えるようになると信じていましたが、シーズン終わりには、実際に彼らのペースに追いつくことができました」
ミッコ・ヒルボネン(チーフインストラクター):「松下のパフォーマンスは素晴らしく、今シーズンのベストだった。最初のステージでテクニカルトラブルが発生してしまったのは不運だが、その後の復活は非常に印象的で、安定したスピードで今年の成長を示した。特に、高速でテクニカルな路面が多かった中で、同クラスのフィンランドのトップドライバーたちと非常に近いタイムを出したのは素晴らしかった。一方、後藤は彼のスピードを示す機会がなかったが、アクシデントは若いドライバーにとって学びの一部だ。両選手を通じ、リタイアとなるアクシデントが今回だけで済んだのは、彼らがいかに素晴らしいシーズンを送ってきたかを物語っている。シーズンを通じて彼らの進歩は明らかで、ミスもほとんどなかった。今年の初め、ペースノートを使った運転の経験がゼロで、全く新しい環境に直面していたことを考えると、2024年に彼らが達成したことに非常に感心している」
後藤と松下にとって、競技としては今回のラリーが今シーズン最後のイベントでした。二人は、チャレンジプログラム2期生の小暮・山本と共にWRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーでレッキを行い、またWRC第13戦ラリー・ジャパンでもレッキを実施しトレーニングを継続します。なお、小暮・山本は、ラリー・ジャパンにはGRヤリスRally2で参戦する。