WRC2020/07/12

Mスポーツ、フィエスタWRCの新しいエアロをテスト

(c)Matthew Wilson

 Mスポーツは先週、カンブリア州にあるグレイストーク・フォレストにおいて新型コロナウイルスの流行に伴うテスト禁止措置が解禁になってから初めてフォード・フィエスタWRCのテストを行い、新しいフロントエアロの評価を行った。

 FIAによるテスト制限が解禁された6月初旬、トヨタとヒュンダイはともにフィンランドでテストを行い、ドライバーたちがラリー・メキシコ以来、3カ月ぶりにマシンのステアリングを握っている。両チームともに新しいフロントのエアロをテストしてシーズン再開にむけて第一歩を記すことになったが、Mスポーツのみが予定されていたテストをスキップすることになった。

 Mスポーツの今回のテストは、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響が続くなか、モータースポーツUKがどのように安全にラリーを運営したらいいか国内の主催者に説明するためのガイダンスのためのビデオを製作することを目的とした撮影だと説明されている。ステアリングを握ったのは、WRCレギュラードライバーのエサペッカ・ラッピやテーム・スニネンではなく、元WRCドライバーであり、歴代のMスポーツ・ラリーカーの開発テストドライバーを務めてきたマシュー・ウィルソンだった。

 そのため今回のテストは当初からそれほど注目されていたわけではないが、マシューが何気なく公開した写真から、チームがフィエスタWRCのフロントエアロパッケージのモディファイを行い、その評価テストを開始したことが明らかとなっている。

 最初に気付くのは、フロントバンパーの左右に付いているダイヴィングプレーンの外側にサイドリップが追加され、それは以前と同様に、なだらかな曲線を描いてフロントフェンダーと一体になっているが、そのフェンダーにもサイドリップが追加されている。また、それより低い位置にある2枚目のダイヴィングプレーンもサイドリップが備わっており、これらによってフロントのダウンフォースの強化を狙っているものと考えられる。

 さらにフィエスタWRCのフロントフェンダーの上部後方には開口部があり、フロントホイール内の圧力を抜いて、リフトするのを防ごうとしていると見られている。こうしたエアベントをもつデザインはトヨタですでに採用されているものだが、それとは異なり、フィエスタは小さなウイングレットを備えてないのが特徴だ。トヨタのウイングレットは、フロントアクスルへのダウンフォースを向上させながら、フェンダー上部に負圧を発生させてエンジンルームの高温となったエアを抜こうとしたものだと説明されている。