WRC2023/11/25

Rally1カーは密閉度が悪い

(c)Toyota

 セバスチャン・オジエは、ラリー・ジャパンで多くのトップドライバーたちが雨のなかフロントガラスが曇ったことで視界不良に悩まされたのは、Rally1カーの避けられない構造的な問題に起因するとして解決策を求めている。

 先週金曜日、ステージが極端な雨天に見舞われる中、フロントガラスの曇り問題が注目の話題となった。この問題は、市販車ベースのRally2カーでは発生することはなく、スペースフレームとカーボン製のボディパネルで作られたRally1カーが深刻な影響を受けている

 激しい雨が打ち付けた金曜日の朝のイナブ・ダムのステージで、オジエも問題に悩まされたRally1ドライバーの一人だった。オジエはフロントガラスの2センチほどの隙間から覗き込むようにしなければならない状態で走行を続け、首位から3.8秒差の2位につけていたが、38.8秒を失って42.6秒差の3位へ後退してしまった。また、Mスポーツのオイット・タナクは、最悪の視界のなかフロントガラス越しに見ようとしながらシートにしゃがみ込む姿が目撃されており、3分近いロスをして5位から11位へ後退した。

 オジエもタナクもコドライバーが手を伸ばしてフロントガラスをタオルを拭きながら悪戦苦闘したが、シートベルトを緩めるわけにいかないため、フロントガラスには星形に拭いたあとが残っていた。

 オジエは、金曜日の夜、Rally.tvのインタビューにおいて、この問題はRally1カーの密閉度に起因するもので、WRCの将来的な見直しの一部とするべきだと考えていると語った。

「マシンの中は水でいっぱいになっているし、チューブラーフレームとその周りにあるカーボンパネルの形状のために防水構造に作ることは不可能に近い、だからとてもトリッキーになるのだと思う」とオジエは語っている。

「我々のスポーツについて、これは全体として見直していくところの一部なのかもしれない。このクルマにはこのような問題がある、そして非常に高価だ。もう少しシンプルなものに戻して行くという方法で、もしかしてこのような問題を回避させることもできるかもしれない」

 Rally1カーは以前から雨のラリーではフロントガラスが曇る問題に悩まされてきた。フロントガラスの下にレイアウトされるデフォッガーなどのメカニズムはシンプルなものでエンジニアが軽量化と低重心に執着してきたことでさらに問題を重くしているとも見られている。

 ヒョンデのチーム代表であるシリル・アビテブールは、チームとして解決法を見つけていく予定だと語っている。

「クルマのコストを考えると、あのような問題に対処できないのは驚くべきことだ」とアビテブールは語っている。

「我々は、物事を最適化するよう訓練されているので、それが標準的なダッシュボードでないことが分かっている。それでも、こういったことが起きるのも分かっている、だからこうした技術にももうちょっと投資していくべきだ」

「ちょっと恥ずかしいことで、Rally1カーにとって良いPRにならないし、我々はこの問題を解決していけるよう取り組んでいきたいと思っている」