RallyCross2020/08/05

STARDがシトロエンC3 R5のEVマシンを開発

(c)STARD

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(c)Citroen

 STARD(ストール・アドバンスド・リサーチ・アンド・デベロップメント)は、シトロエン・レーシングの支援を受けて開発された世界初のR5マシンをベースとしてEVレーシングマシン、シトロエンC3 ERXの開発を発表した。

 C3 ERXは、Rally2カテゴリー(これまでのR5)の1台であるC3 R5のローリング・シャシーを使用し、またFIA世界ラリークロス選手権の公式電動カテゴリーであるProjektEで使用されるSTARDのREVelutionパワートレインキットを搭載している。オーストリアのウィーン近郊にあるSTARDでは、マーケットに出回っている電気レーシングカーのコンセプトの中で最高レベルのコンセプトを採用することで、カスタマー・モータースポーツのシャシーテクノロジーにおける最高峰を求めて開発したという。

 REVelutionのパワートレインを搭載したC3 ERXは、3基の電気モーターによって450kW(613bhp)のパワーと1002Nmの瞬間トルクを生み出し、その最高速度は240km/hに達した。駆動方式は4WDとなり、前後アクスルに搭載された2速トランスミッションを搭載する。

 シトロエン・レーシングのC3 R5は、2018年末にラリーデビューを果たして以来、60台がカスタマーに届けられ、3大陸で合計270回以上のスタートを切り、136回の表彰台と58回の勝利を獲得した。

 C3 ERXは、C3 R5のローリング・シャシー・コンポーネントの約80%を留めており、ProjektEのすべてのテクニカル・レギュレーションに適合しており、ラリークロスに出場することが可能となるほか、サーキットやヒルクライムレースでの使用も可能になるという。技術的にも商業的にもシトロエン・レーシングのサポートを受けているため、C3 ERXのカスタマーは、世界的に有名なシトロエン・レーシング・ショップから直接スペアパーツを購入することができる。

 C3 ERXは、8月22日から23日にかけてスウェーデンのホルヘスで開催される2020 ProjektEシリーズの開幕戦で競技デビューを果たす。近日中にマシンのデビューを飾るドライバーが明らかにされる見込みだ。

 C3 ERXはすでに一括価格37万4千ユーロ(約4666万円)で購入可能だ。詳細は追って発表される。

 ストール・グループ社長マンフレッド・ストールは次のようにコメントした。

「私はシトロエンとプジョーの競争力の高いPSAカーのステアリングを握って世界ラリー選手権で最高のシーズンと表彰台を祝った。PSAモータースポーツは、特にラリーやラリークロスカーに関しては、世界で最高の自動車競技部門のひとつだ。FIA認定のSTARD EVパワートレインシステムは世界でも類を見ないもので、ランニングコストを最小限に抑えつつ、コストパフォーマンスの高さでは他の追随を許さない。これをシトロエン・レーシングC3 R5のローリング・シャシーに搭載することで、パフォーマンスだけでなく、顧客にとっての使いやすさという点でも非常に強力な組み合わせとなる。シトロエン・レーシングをパートナーに迎えられたことを光栄に思っている」

 また、シトロエン・レーシングのカスタマー・レーシング・プロモーション・アクティビティの責任者 ディディエ・クレモンは次のようにコメントしている。

「2018年にC3 R5が市販されて以来、我々のクルマはR5クラスの基準の一つとなってきた。ラリーで可能性を証明し、そのことはSTARDがC3 R5 ERXを開発するための確固たる基盤となった。我々は、この野心的なプロジェクトでSTARDをサポートできることを嬉しく思うし、プロジェクトを緊密に支援していきたい。現在モータースポーツは転換期にあり、ますます競争力のある電気自動車が増えている。C3R5 ERXは、当社のC3R5ファミリーが、将来性のある新製品と共に成長し続けていることを示すものだ。C3R5 ERXの最初のテストドライブが楽しみだし、サーキットでのSTARDの冒険を追うのが待ち遠しい」