Raid2023/12/14

TGR、ベテランと新鋭の5台体制でダカールへ

(c)Toyota

 ド・ヴィリエールは次のようにコメントしている。

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、2024年1月に開催されるダカール・ラリーに新しいGRダカールハイラックスEVO T1Uを投入、2009年のダカール・ウィナーであるジニエル・ド・ヴィリエール(写真左)を筆頭に、昨年のダカールで初挑戦初表彰台を成し遂げたルーカス・モラエス(中央)とセス・キンテロ(右)の才能溢れる2人を含む、TGRとしては過去最大規模となる全5台体制で挑む。

 2年連続でTGRにダカール勝利をもたらしたナッサー・アル-アッティーヤがチームを離脱したものの、南アフリカ出身のド・ヴィリエールもダカールでは比類無き経験を誇るベテランだ。ド・ヴィリエールはこれまで参戦してきたダカールラリー20戦全てで完走、そのうちトップ10フィニッシュを逃したのは1回のみ、そして、20戦中8度の表彰台フィニッシュを含む15回のトップ5フィニッシュという比肩するもののない記録を持っている。また彼は2022年のダカールから南アフリカ人のデニス・マーフィをコドライバーとして戦っており、このコンビは南アフリカ・ラリーレイドシリーズ(SARRC)の2022年チャンピオンに輝いている。

 一方、モラエスは2023年のダカールで頭角を現し、プライベーター参加ながらトヨタ・ハイラックスでラリーの大半を2位走行、最終的には3位でフィニッシュとなりましたが、ダカール史上、初出場ドライバーによる最高位フィニッシュ記録を更新している。今年、このブラジル人ドライバーは、スペイン人のアルマンド・モンレオンをコドライバーに迎え、さらなる上位に挑む。

 21歳のセス・キンテロはSSVからT1-Uへステップアップしての初のダカールとなるが、その若さながらその才能が注目されており、コドライバーのデニス・センツとともにダカールでの初完走を目指す。

 また、モラエスとキンテロはダカール2024のあと、TGRワークスとして2024年シーズンのW2RCにフル参戦することも決定した。2024年W2RCは、開幕戦のダカールのあと、4ラウンドが行われ、全5戦で戦われる。

 チームの4台目はサオード・ヴァリアワとコドライバーのフランソワ・カザレという新世代コンビでの参戦となる。ヴァリアワは南アフリカのツーリングカー選手権を戦う一方で、南アフリカラリーレイドシリーズにもトヨタ・ハイラックスT1+で参戦。南アフリカ・ヨハネスブルク出身で、18歳というダカール史上最年少ワークスドライバーとなる。

 5台目を駆るのは、2023年に南アフリカのSARRCで僅差のランキング2位を獲得しているガイ・ボッテリルとブレット・カミングスのコンビとなる。カミングスはヘンク・ラテガンのコドライバーとして既にチームには馴染み深い存在だ。ラテガンが今年初めの南アフリカでの激しいクラッシュにより肩を負傷したため、ボッテリルがドライバーとして参戦する。ボッテリルにとっては初めてのダカールとなるが、カミングスの経験を活かしての活躍に期待がかかる。

「ダカール・ラリーは間違いなく1年のハイライトとなる。ダカールをエキサイティングなものにしている理由のひとつに、私はこれまでのハイラックスの各バージョン開発に密接に関わってきているという点があり、開発に関わったマシンがレースで活躍するのを見るのはとても満足できるものだ。私自身の戦闘力も高いし、ダカール2024では、着実なパフォーマンスを示したいと思っている。クルマもチームも良いのはわかっているし、ダカール2024をベストなレースにすべく全力を尽くしたい」

 アラン・デュハディン(TGR W2RCチーム代表)は次のようにコメントしている。

「2023年シーズンに我々が達成できたことの、全てが最高の気分だ。ダカール・ラリーで勝利を挙げ、それだけでなくW2RCのタイトルも2年連続で獲得できた。これらは高い耐久性と信頼性を持つGRダカールハイラックスT1+と、ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメルのコンビによる高いスキルと献身的な走りによるものだ。そして今、我々はもっと高い目標へ向け、新型GRダカールハイラックスEVO T1Uと共に、新たな挑戦へのスタート地点に立っている。我々は幸運にも優れた車両だけでなく、ラリーレイドの世界においてもっとも競争力の高いドライバーラインナップを得ることができた。2024年シーズン、新たなTGRのドライバーたちがワークスドライバーとしてそれぞれの役割の中でどう成長していくのか楽しみにしている。同時に、ジニエルとデニスのコンビ、そして全ての技術スタッフの経験が、将来へ向け新たな才能を導き、育ててくれることを期待している」

 ダカール・ラリー2024は1月5日(金)に、サウジアラビア北西部アルウラ市街地近郊の短いプロローグランでスタートが切られた後、舞台は東へ向かい、前半戦は6つのステージで戦われる。このうち第6ステージは「48時間クロノ」と称される革新的な拡張マラソンステージとなる。48時間クロノでは、アラビア半島南部のルブアルハリ砂漠、通称エンプティクォーターに設けられた約600kmのステージを計48時間の中で、選手のみで走り切らなければならない。

 このタフな前半戦の後、1月13日(土)にリヤドで伝統的な休息日を過ごしたあと、選手たちはサウジアラビア北部を舞台にさらに6つのステージで構成される後半戦を戦い、1月19日(金)にサウジアラビア西部の港町ヤンブーでゴールを迎える。