WRC2019/06/09

VWが火災問題のポロR5を緊急アップデートへ

(c)Michelin

 フォルクスワーゲン・モータースポーツは、ここ最近のラリーで複数のカスタマーカーが火災によるダメージ被害が続いていたため、ポロGTI R5のテクニカル・アップデートに全力で取り組んでいる。

 フォルクスワーゲン・モータースポーツは、その影響があった数台のクルマの徹底的な調査を行い、その結果から技術的な解決策もすでに開発されていることを明らかにした。実証のためのテストもすぐに行われることになっており、これらが完了次第、すべてのカスタマーカーは無料でこのアップデートを受けられることになる。

 ポロGTI R5の最初の火災は、3月のツール・ド・コルスでエリック・カミリーのマシンに発生、4月のラリー・イスラス・カナリアスのダニエル・マルバンのポロがふたたび火災を起こし、先週末のラリー・デ・ポルトガルではオーレ・クリスチャン・ヴェイビーとペドロ・メイレレスの2台、さらにスイスのラリー・ドゥ・シャブレでもセドリック・アルトハウスのポロが燃えている。

 フォルクスワーゲン・モータースポーツによれば、専門家やコンサルタントらの協力のもとで行われた調査によって、ポロGTI R5の燃料タンクのセーフティ・バルブの位置の調整が必要であることが判明している。これは特定の燃料を使用した時にその機能が制限されてしまう可能性があることが判明したという。場合によっては燃料タンク内のガス抜きのシステムがブロックされ、その結果、(気化したガスによる)オーバープレッシャー(圧力過多)が生じてしまうこともある。排気による熱とともにこのオーバープレッシャーがタンクカバーの変形させる可能性もある。これによって最終的にはプロペラシャフトと排気系の接触に至り、最後には燃料タンクのダメージに及ぶことになるという。

 こうした調査結果に基づき、フォルクスワーゲン・モータースポーツは技術的なソリューションの開発に至っている。そのプランとしては、プロペラシャフトと排気系の周囲にあるタンクカバーを鉄の支持材で補強し、絶縁状態を最適に保つというものである。タンク内のガスを抜くシステムは、オーバープレッシャーが起こったとしても確実に制御できるように改良が施されている。さらに、メインエキゾーストとタンクとの間隔が広げられている。

 これらの対策はすべて、適時に現実的なコンディションの中でテストが行なわれることになっている。これらの審査がすべて無事に終了した時点ですべてのポロGTI R5は無料のアップデートを受けられることになる。カスタマー・チームはすでに手順に関して報告を受けており、適した燃料や、彼らのクルマの定期点検の推奨も受けている。