●ランデ・インタビュー

「仕事を完璧にこなすためには、常にプレッシャーが必要だ」

ヴァンサン・ランデ

─ラリー・ジャパンからセバスチャン(オジエ)とコンビを組むことを申し込まれたとき、どのように感じましたか?

ヴァンサン・ランデ:「申し出を受けたのは、ラリー・ニュージーランドの後だ。突然のことだったので驚いた。今年のモンテカルロで、セブのグラベルクルーのコドライバーを務めたが、セブとはあまり話をしたことがない。グラベルクルーはドライバーが走るよりずっと前に出発するので話をする時間もない。だから、セブと一緒に仕事をするのは、僕にとってまったく新しい経験だ」

─ピエール-ルイ・ルーベも将来が期待されるドライバーです。セバスチャンの申し出に迷わずにすぐにイエスと返事したのでしょうか?

「僕は2015年からWRCに参戦して、常にトップレベルに到達することを望んできた。ピエール-ルイと組み、今年はプーマRally1で参戦してとてもよい時間を過ごしてきた。しかし、それでも最後の1ステップが足りないといつも感じていた。僕にとってセブ・ローブとセブ・オジエはWRCの『キング』であり、彼らの隣に座ることはすべてのコドライバーにとって夢だと思う。もし、セブ・オジエから『コドライバーになってくれ』と言われたら・・・と、何度も想像したことがある。答えはもちろん『イエス』だ。 でも、実際にセブから連絡があった時、すぐ『イエス』とは言えなかった。なぜなら、もし実際にセブと一緒に仕事をするなら、とても良い方法で仕事にアプローチし、かつ入念な準備をしてからでないとならないからだ。『イエス』と返答するには、数時間かかったよ」

─セバスチャンのコドライバーになることへのプレッシャーは感じますか?プレッシャーとは、あなたにとって良いものですか?

ランデ:「もちろん、プレッシャーを感じている。でも、ピエール-ルイと一緒に戦ってきたときと同じプレッシャーだ。僕は常に向上したいと思っていて、そのためにはプレッシャーが必要だ。セブとはスペインの前に1日だけテストをしただけなので、今回が大きな挑戦になるのは間違いない。それにジャパンは新しいラリーで、道もまったく新しいものだ。だが、僕はいつも通りベストを尽くす。それにジュリアン(・イングラシア)と僕は、何週間も前から準備をしていて、ジュリアンが日本まで一緒に来てくれてセブとの仕事の仕方をいろいろなことを教えてくれた」

─ここ日本では、ヨーロッパと違うことがたくさんあります。道路や交通ルールも違うし、日本語の文字はあなた達ヨーロッパの方にとってアルファベットと全く違うので大変でしょう。

ランデ:「日本では車は左側通行だし、標識は日本語とアルファベットの両方で書かれているものもあるが、日本語だけで書かれていることもあるので、注意が必要だ。ステージは狭くツイスティなところが多いが、高速なところもある。自分のリズムを保ち、集中していなければならない。自分自身を適応させる必要があるが、自分は大丈夫だと思う」

(ラリー・ジャパン終了後、オジエと組んだ初めてのラリーを終えた感想を聞いた)

─ラリー前にプレッシャーはあるけれど大丈夫だとおっしゃっていました。実際ラリーを終えてどうですか?自分の仕事に満足していますか?

ランデ:「僕は常に仕事を完璧にこなしたいと思っている人間で、先にも言ったように、そのためには常にプレッシャーが必要だという信念をもっている。もしプレッシャーがなかったら自分自身のベストを尽くすことができないからだ。ラリーの大部分において、よい仕事ができたと思う。だからプレッシャーがあったことがよかった。次のラリーでも、今回と同じようなプレッシャーを自分に課して臨みたい」


オジエとの初挑戦となったラリー・ジャパンは金曜日のパンクのため大きく遅れたが、そのあとの猛プッシュで表彰台に迫る4位でフィニッシュした。
RXインタビュー2017