WRC2017/06/13

勝田貴元「一番タフなラリーでの3位が自信に」

(c)Toyota

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 TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムでヨーロッパにおいて修行中の勝田貴元、新井大輝が、6月8〜11日に開催された世界ラリー選手権(WRC)第7戦ラリー・イタリア・サルディニアのWRC2選手権に参戦し、勝田が3位(総合14位)で入賞を果たした。一方、新井は不運が重なりリタイアとなっている。

 ラリー・イタリア サルディニアは、様々な道のコンディションを含む。表面が目の細かいグラベルに覆われる軟らかい道の下には硬い岩や石が隠れており、路面の状況は刻々と変化する。同じステージを2度目に走る際はさらに岩や石が多くなり、勝田、新井にとっては前戦のポルトガルをも超える難しいラリーとなった。また30度を超える気温も体力を消耗させ、二人にチャレンジングな環境を与えた。

 勝田は4日間を通し、堅実なペースでミスのない走りを貫いた。土曜日のSS11を走行中にエンジンが止まるトラブルに見舞われたが、1分弱の停止の後、エンジンの再始動に成功。また、SS15ではパンクを喫したが、ゴールまで2キロ地点であったためそのまま走り切ることができた。運も味方につけた勝田は、これまで積み重ねてきたトレーニングの成果を存分に発揮し、WRC2選手権で3位の表彰台を勝ち取った。

 勝田は、タフなラリーでの3位がさらなる自信になったようだ。

「今回のラリーはコーナー毎にコンディションが違ったことが一番難しかったです。いつパンクしてもおかしくないような道がずっと続き、今までで一番タフなラリーでした。SS11でエンジンが止まったときは、もう自分のラリーが終わったかと思いました。この難しいラリーを完走できたことは大きな収穫です」と勝田は語った。

「コドライバーのマルコ(・サルミネン)とのコミュニケーションは回を重ねる度に良くなっていて、彼のおかげで自分がフォーカスすべきことを貫くことができました。またチームのおかげで車に対して常に自信を持ってラリーに挑めています。いつも支えてくれているマルコ、インストラクターのヨウニ(・アンプヤ)を始め、チームの皆と家族に感謝の気持ちを伝えたいです」

 一方、新井は木曜夜のSS1から不運に見舞われた。スタート前に起こった電気系統のトラブルによりペースノートが聞こえず、ワイパーも動かず前が見えない中での走行を強いられてリタイアとなり、その翌日も不可解な電気系の問題に悩まされながら走行を重ねたものの、土曜日のSS12でブレーキのオーバーヒートからコースオフして2回目のリタイア。最終日も再び出走したが、SS17でライン上の大きな石をヒットしドライブシャフトとサスペンションが壊れ、リタイアを余儀なくされた。

 新井は、ドライビングのいいイメージが固まってきつつあるなかで、不運なトラブルを切っ掛けに思ったようなラリーにならなかったようだ。

「前回に続いてのリタイアとなり、とても残念です。今回はエンジニアからのアドバイスと自分の元々のドライビングを融合させることを試み、イメージが固まってきた頃にリタイアとなってしまいました」と新井。

「ラリー中に学べたことは多かったのですが、結果に繋げられなかったのが残念です。ですが、きれいな走りができたステージではクラストップタイムに近い良いタイムを出せたことは励みになりました。チームともしっかり話し合い、次回に繋げたいです」

 チーフインストラクターのヨウニ・アンプヤは次のようにコメントしている。

「チームにとっては、複雑な週末となりました。これまでで一番と言えるラリーを展開した勝田は、終始堅実なペースを保ち、彼とコドライバーのサルミネンがこれまで積み重ねてきた努力に値する素晴らしい結果を出しました。対照的に、新井にとっては不運が重なる週末となりましたが、問題なく走行できたときには競争力のあるタイムを出せたことはよかったと思います」

 勝田と新井の次戦は7月14〜15日にフィンランドで開催されるアウトグリム・ラリー。二人は、この高速のグラベルラリーで、その後に参戦するWRC第9戦ラリー・フィンランド(7月27〜30日)にむけた調整と準備を行う。