WRC2024/04/23

セスクス、プーマRally1でポーランドとラトビアへ

(c)M-Sport

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 Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチームは、ラリー・ポーランドとラリー・ラトビアの2戦においてマルティン・セスクスがフォード・プーマRally1で参戦することを発表した。セスクスはポーランドでノンハイブリッドのプーマRally1で最高峰のマシンのスピードに慣れたあと、母国のラトビアではフルハイブリッドマシンでのデビューを果たすことになる。

 WRCの最高峰クラスのマシンであるRallyカーをより多くのプライベートドライバーに使ってもらうために今季から新たにノンハイブリッドのRally1カーのWRC参戦が認められている。このマシンでマニュファクチャラーズ選手権ポイントを獲得するためにノミネートすることはできないが、セスクスは母国ラトビアでの記念すべきWRC初開催のイベントでは待望のフルハイブリッドのRally1デビューをすることになる。

 セスクスのRally1デビューは、MスポーツとWRCプロモーターの協力で実現したものだ。WRCへのRally1エントリーを増加させることは、将来のラリーの才能をサポートするというMスポーツとWRCプロモーターの目標に合致しており、セスクスのような候補者に、このスポーツのスーパースターの中で自分自身を証明する機会を与えることになる。

 セスクスは、2016年にERCデビューを飾り、その翌年にフル参戦を果たし、2018年にはコドライバーのレナーズ・フランシスとともにERC3選手権とジュニアERC選手権のタイトルを獲得した。2022年にRally2マシンにステップアップしたセスクスは、母国ラトビアのラリー・リエパーヤで全ステージでベストタイムを奪う完全勝利を成し遂げ、昨年もポーランドとラトビアで2勝を飾り、ランキング2位でシーズンを終えている。

 セスクスはRally 1マシンでのデビューの機会に感謝していると語った。

「Mスポーツ・ワールドラリー・チーム、そしてWRCプロモーターと力を合わせ、Rally 2からRally1レベルへ昇格するという素晴らしい機会を得ることができ、心から感謝している。Rally 1マシンで世界最高峰のドライバーたちと一緒に戦える日が近いと思うと、二度びっくりしてしまう」

 WRCラリー・ラトビアの開催地であるリエパーヤ市に住んでいるセスクスにとって、母国でのハイブリッドRally1デビューは重要な出来事だ。彼の祖父は旧ソ連時代の1965年にラリー・リエパーヤの原点ともいえるイベントを初開催し、この地にモータースポーツの文化を築いており、2013年にERCイベントとしてラリー・リエパーヤが復活した際にはリエパーヤ市長だった父のウルディシュ・セスクスがその開催を強く支援、ラトビアへのWRC招致に強い役割を果たしたことで知られている。

「ここまでの道のりは、多くの人々の努力の賜物であり、特に僕の家族は、祖父が1965年にリエパーヤで開催されたラリー第1回大会まで遡ることができる。それから59年経った今、僕はWRCとして行われるこのラリーにトップのマシンで出場する機会を得たことをうれしく思う」とセスクスは語っている。

「Rally 1のマシンに適応するためには、揺るぎない集中力とコミットメントが要求されることは間違いないが、全力を尽くす準備は万端だ。プーマRally1初のノンハイブリッドマシンのドライバーを任されたことで、僕らの未来がどうなるか、よりエキサイティングになったよ」

 Mスポーツ・フォード・ワールドラリーチーム代表のリチャード・ミルナーは次のように語った。

「2024年の新しいレギュレーションを活用することで、ハイブリッド・ユニットなしのRally1マシンを走らせることができる。これはカスタマー・ドライバーにとってより費用対効果の高いソリューションであることは言うまでもありませんし、マーティンシュ(・セスクス)のようなドライバーがよりリラックスしてRally1にステップアップできるようになり、トップカテゴリーのフィールドを広げることができる」

「マーティンシュは素晴らしい経歴の持ち主で、この新しいノンハイブリッドマシンをデビューさせるプロジェクトにうってつけの候補者だ。彼のホームイベントでフルハイブリッドで戦う前に、ポーランドではシートタイムを与える良い機会になる。地元ファンの前で、最高のラリーカーをドライブする彼を見ることができるのは素晴らしいことだ」