ERC2016/06/25

イープル初日、ブフィエとロイクスが白熱バトル

(c)ERC

(c)ERC/Torstein Eriksen

(c)ERC

 ヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)第5戦イープル・ラリーのレグ1が24日に行われ、ブライアン・ブフィエ(シトロエンDS3 R5)が11度目の優勝を狙う地元のフレディ・ロイクス(シュコダ・ファビアR5)からのプレッシャーをものともしない走りで初日のトップとなっている。

 木曜日の夕方に行われた予選ステージでトップタイムを奪ったブフィエは、金曜日のランチタイムの時刻に行われたスタートオーダーセレクションで、インカットするラリーカーによってステージがかき出された土で汚れることになると予想、一番手のポジションでスタートすることを選択、すべてのドライバーが彼に続くように上位のポジションでのスタート順を選択することになった。

 オープニングステージのディッケブスでは、ブフィエはその読みどおりにトップタイムをマークしてスタート、予選2位のロイクスが1.6秒遅れの2番手タイムで続くことになった。

 しかし、彼らの後方ではイープル初参戦のアレクセイ・ルクヤヌク(フォード・フィエスタR5)がクラッシュするという波乱が待っていた。選手権リーダーのカイエタン・カイエタノビッチが今回のイベントをスキップしているため、ルクヤヌクにとってポイントを縮め、選手権のリードを奪い返す絶好のチャンスだったが、彼はステージの中間地点の左コーナーでミス、マシンをディッチに落として激しく横転する。彼はどうにかコースに復帰して12分あまり遅れでゴールしたものの、サスペンションにダメージを受けており、SS2に向かうロードセクションでリタイアとなってしまった。

 イープル名物ともいえる道路の排水のためにコース脇に作られたディッチの餌食となったのはルクヤヌクだけではない。ノルウェー期待のピーター・クリスチャンセン(シュコダ・ファビアR5)はSS1でリタイア、WRC2に参戦する若手のギラン・ド・メヴィウス(シュコダ・ファビアR5)も脱出に40分を要したあとリタイアするという最悪の初日になってしまった。

 こうした混乱を余所に、ブフィエとロイクスの首位争いは、路面が乾き、クリーンになるとさらに激しさを増すことになった。ロイクスは1回目のループこそ慎重な走りでブフィエから6.5秒遅れの3位で終えることになったが、2回目のループにむけてセッティングを変更したあとはペースをアップ、SS4では4秒差の2位に浮上する。

 しかし、SS5ではブフィエがトップタイムで応戦、SS6ではリヤバンパーを失うまでに果敢に攻めたブフィエとロイクスは同タイム、初日の最後のステージとなるSS7でも二人はわずか0.1秒差という一歩も譲らない走りをみせることになったが、ブフィエが6.9秒差で初日のトップを守ることになった。

 初日3位につけたのはベルギーのヴィンセント・ヴェルシューレン(シュコダ・ファビアR5)。SS6でスピンしながらも2度のベストタイムを奪った彼は、ロイクスの10.9秒後方につけている。

 トリッキーなステージを熟知するプジョー・ベルギー・ルクセンブルクのクリス・プリンセン(プジョー208T16 R5)は、SS1ではインターコムの問題やリヤ・ガラスが壊れたために室内に泥が飛び散るトラブルを抱えたものの6位から4位まで追い上げている。

 不運なトラブルで始まったのはステファン・ルフェーブル(シトロエンDS3 R5)。プレテストでエンジンを壊して予選の出走をキャンセルすることになった彼は、クラス最後尾の24番手からのスタート、ダーティな路面となったSS1ではギヤボックスが高温になったことを警告するアラームが鳴ったこともあり20秒を失い、19番手タイムでスタートすることになったが、多くのラリーカーが走行を重ねた路面は予想外にクリーンなターマックになっており、その後は好タイムを連発して追い上げることになった。

 ルフェーブルはSS2ではベストタイム、SS3でも2番手タイム、さらにSS4でのベストタイムをマークして、首位まで14秒差の6位まで浮上する。さらなる躍進も期待されたが、彼はSS5でスピン、さらにSS6ではスロー走行する前のクルマに進路を阻まれてタイムをロスすることになったが、最終SSでも2番手タイムを出して5位まで浮上することになった。

 過去8度、ベルギー・チャンピオンに輝いているピーター・チューンは初めてドライブするフォード・フィエスタR5に手こずりながらも4番手タイムでSS1をスタートしたものの、パンクなどの遅れで11位という不本意なラリーとなっている。

 新しいヒュンダイi20 R5でコースカーとして競技の前に走行したケビン・アッブリングは、SS1でパンクに見舞われたためにこのステージの走行を中止、新しいタイヤでSS2に向かい、非公式ながら10秒上回るタイムで走ったと報告されている。

 また、ERCジュニア選手権はオープニングステージから荒れ模様となり、前戦アソーレスで優勝を飾ったポルトガルのディオゴ・ガゴ(プジョー208 R2)がクラッシュ、ニコライ・グリアジン(プジョー208 R2)がディッチに落ちてリタイアとなるなか、オペル・ジュニア・チームのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)とマリヤン・グリーベル(オペル・アダムR2)のトップ争いとなり、グリーベルが8.4秒をリードして初日を終えている。

 イープルの最終日は10SS/169.80kmという長い一日が待っている。ブフィエはリードしているとはいえ、昨年も最終日にパンクのためにロイクスに抜かれて2位に終わっているだけに、まったくリラックスするゆとりはないだろう。