WRC2022/01/22

オジエ、グラベルクルーからの情報がブレーキに

(c)Toyota

 ラリー・モンテカルロで8回の優勝を誇るセバスチャン・オジエは、金曜日にMスポーツのセバスチャン・ローブにラリーの首位を譲り渡すことになった。彼はその理由がグラベルクルーからもたらされたペースノートのコーションの情報と走行順にあると認めた。

 オジエは金曜日、9度のワールドチャンピオンのローブに6.7秒差をつけてスタート、ローブが4ステージ連続で勝利した後、オジエは2回目のヴァル・ド・シャルヴァーニュ〜アントルヴォーではステージ勝利を奪い返したものの、首位を奪われて9.9秒遅れで終えることになった。

 注目したいのは、朝のループにSS5として行われたヴァル・ド・シャルヴァーニュ〜アントルヴォーの1回目の走行だ。オジエはここだけで15.9秒を落としてこのステージで7番手タイムに終わり、ローブとトヨタのチームメイトのエルフィン・エヴァンスにも抜かれて総合3位に後退してしまった。首位からの転落に最も大きな影響を及ぼしたこのときの謎めいた失速について、オジエはグラベルノートクルーからの情報との路面状況の落差が大きかったことが大きいと説明している。

「いくつかの問題が混在していたんだ」とオジエは語った。

「そのうちのひとつは、シモン(2度のヨーロッパ・ラリー王者でオジエのセーフティクルーであるジャン‐ジョセフ)含め、僕のグラベルクルーが少し安全側に立っていたということだ」

「彼らから受け取った情報はとても安全寄りで、霜が降りたセクションでは、もっとアイスのように描写されていたので、かなり減速させられた。このようなラリーでは、それが大きな違いになる。今夜はそれについて話していて、僕たちは『大丈夫だ、明日はもっとうまくいく』と言った。彼らにとってはいつも大変な仕事だから、誰も責めることはできないよ」

 グラベルノートクルーがこのヴァル・ド・シャルヴァーニュ〜アントルヴォーの1回目の走行した時刻は、おそらく夜明けに近く、もっとも山間部が冷え込んでいた時間帯だろう。モンテではグラベルクルーと実際にドライバーが走行する時間とのズレが大きいことから、しばしばこうした路面の状況のズレが問題になることがある。グラベルクルーは現状に即して、数時間後の未来を予測することになるため、それが外れることもそう珍しいことではない。

 オジエのようにきわめて精度の高いノートを作成すると、1コーナーでもズレがあるとノートを疑い始めることになる。オジエはやや慎重すぎる指示が記載されたペースノートに照らして速度を落とすことを決断したが、その結果、ステージ後半で強いリズムをつかむことが難しくなり、そこで最もタイムを失ってしまった。

「白っぽく見えたり、霜が降りていたり、判断が難しいんだ」とオジエは語った。

「走っているときは、確かにプッシュしている感覚はなかったが、あれだけロスすることも想定外だった。特に最近は(コックピット内に)スプリットタイムの表示がないから、そういうこともあるんだ。こういうことは簡単に起こり得る」

 オジエは、SS5でのアプローチが自身の順位に最も大きな影響を与えたものの、ローブが朝のステージで出走順が遅かったこともライバルにわずかなアドバンテージを与えたと指摘した。

「一番手で出走したことが、僕には有利に働かなかったことも確かだ。太陽が出てくるにつれて、道はどんどん高速になり、特にローブは僕たちより30分あとにスタートした」

 凍った路面を一番最初に走行するのは有利ではない。オジエが凍結したセクションでガードレールに接触した最初のステージでも、後続のマシンは彼のラインを見てペースを落とすことができたからだ。

 しかし、ラリー・モンテカルロは土曜日から前日の順位のリバースで走ることになるため、オジエとローブはほぼ同じポジションでラリーをスタートすることになる。

「僕たちがあのステージで少し慎重になりすぎて、あれだけタイムを失ってしまったことは残念だ。それを除けば、僕とバンジャミン(・ヴェイヤス)にとってはとてもいい一日だった。いい仕事ができたし、今日の午後は本当に限界の走りができた。明日は僕らにとっていい一日になることを願っているよ」