WRC2016/10/16

オジエがソルドを逆転、4連覇に大きく前進

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 世界ラリー選手権(WRC)第12戦ラリー・デ・エスパーニャは、フォルクスワーゲン・モータースポーツのセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が地元のダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)から首位を奪還、5.8秒をリードして明日の最終日で今季5度目の勝利とともに4度目のワールドチャンピオン獲得を目指すことになる。

 ラリー・デ・エスパーニャは土曜日、初日のターマックからタラゴーナ地方のターマックステージへと舞台を移して争われる。豪雨によって大荒れとなったグラベルステージでラリーをリードしたダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)のリードは17秒。この日のオープニングSSではまだ前日の雨が残る湿った路面でタイムが伸びないオジエに対してソルドがわずか0.1秒差のタイムで健闘してスタートすることになった。

 ソルドはSS9でもオジエを0.6秒上回ったものの、アンダーステアがひどいために表情はけっして明るくない。彼はセッティングを試行錯誤しながら、ステージを追うものの、気温が上昇し、路面が乾き始めるとオジエが次第にペースをアップ、SS10、11と連続してベストタイムを奪い、朝のループを終えてソルドに7.7秒差に迫ることになった。

 いっぽう、首位争いとともに注目されたのは、アンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)とティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)による表彰台争いだ。

 ミケルセンは、ヌーヴィルを11.2秒リードして二日目を迎え、ドライバーズ選手権でも2位を死守すべく最初のステージでは3番手タイムで発進、ほかのヒュンダイ勢と同様にアンダーステアに苦しむヌーヴィルとの差を13.3秒へと広げ、ターマックにおいてもリードを広げるかに見えた。しかし、ヌーヴィルはセッティング変更が少しずつ功を奏し、SS10以降、少しずつペースをアップすることに成功、朝のループを終えてミケルセンの10.4秒差に迫ることになった。

 二人の対決はさらに加速するかに見えたが、サロウのサービスを挟んだ直後のSS12でミケルセンが2.5km地点の右コーナーでミス、ワイドにふくらんだマシンはそのままガードレールに激突して横転、彼はリタイアとなってしまう。これでヌーヴィルは難なく3位に浮上することになる。

 首位のオジエにとってもミケルセンのクラッシュはショッキングなニュースだったが、これで彼の選手権における戦略は転換点を迎えることになった。ミケルセンのドライバーズチャンピオンの可能性は消え、ヌーヴィルもオジエのリタイアとヌーヴィルの自身の完全優勝が条件となるため、オジエにとってはタイトル争いのプレッシャーがいちだんと薄らぎ、身軽になった恰好だ。

 このステージでトップタイムを奪ったオジエは、次のSS13でも連続してベストタイムを叩き出してアンダーステアに苦しむソルドに2.5秒差に迫り、さらにSS14でも最速タイムでついにソルドを1.7秒差で逆転、金曜日の朝のループ以降、一日ぶりに首位に復帰することになった。

 さらにサロウの海岸で行われたこの日最後のスーパーSSで、ソルドがマシンをスライドさせて4.4秒をロスしたため、オジエは5.8秒をリードして最終日を首位で迎えることになった。

 3位には首位から58.1秒遅れのヌーヴィル。午後になってますますペースを上げた彼は、わずか1.2秒差の後方でこの日を迎え、逆転のチャンスをうかがってきたヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)を16.1秒差まで突き放している。

 二日目を終えて5位につけるのは初日の横転で、一時10位まで順位を落としていたクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)。彼はこの日も朝のステージでパンクに見舞われたほか、SS13では高速でスピンを喫してバンパーを失ってドキリとさせたものの、どうにか5位のポジションを守り切っている。

 ターマックにおけるドライビングスタイルを見直しているマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)が6位、DMACKのパフォーマンスに苦戦するオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)は午後になるとペースを落として7位、ケヴィン・アッブリング(ヒュンダイi20 WRC)はエンジンのミスファイヤのトラブルから解放されたものの、WRカーで今年初のターマックステージでペースが上がらず、8位にとどまっている。

 また9 位につけていたエリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)はSS12でギヤボックスが5速にスタックする問題で1分20秒あまりをロス、ステージ後にリタイアとなっている。

 この日のオープニングステージでドライブシャフトを破損したクレイグ・ブリーン(シトロエンDS3 WRC)は朝のループを後輪駆動となったマシンで奮闘、13位となっている。

 明日の最終日、19.30kmのプラットディップと12.10kmのドゥエザイゲスの2ステージを2回ループする4SS/62.80kmの短い一日。昨年も最終ステージとして行われたドゥエザイゲスでは、勝利目前のオジエがまさかのクラッシュに見舞われてリタイアとなっているが、今年はこのステージで4連覇を決めることになるのだろうか。オープニングステージは現地時間7時24分(日本時間14時24分)のスタートが予定されている。