WRC2016/08/22

オジエがVW母国戦で完勝、189日ぶり勝利

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 世界ラリー選手権(WRC)第8戦ラリー・ドイッチュランドは21日に最終日を迎え、フォルクスワーゲン・モータースポーツのセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が優勝を飾った。オジエは今季、スタートルールに阻まれて勝利から遠ざかってきたが、2月のラリー・スウェーデン以来となる実に189日ぶりの勝利を飾ることになった。

 最終日は、14.79kmのドロンタルとルクセンブルク国境に近い14.84kmのサウエルタルのステージをノーサービスで2回ループするわずか59.26kmの一日。二日間の戦いを終えて、首位のオジエは33.4秒という大きなリードを得ており、もはや勝利は疑いないようにも見える。

 前夜に小雨が降ったことでオープニングSSのドロンタルはわずかに湿ったエリアを残すもののおおむねドライ。オジエは安全のために2本のスペアタイヤを積んだこともあって14.9秒をロスしたもの、プレッシャーを受けた様子は微塵も感じられない。

 勝利を確信するオジエの後方では2位争いが大混戦となっていた。二日間を終えて、アンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)が2位につけているものの、わずか3.6秒後方にはダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)、さらに0.4秒後方にはティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)が迫っている。この状況のなかでスタートしたオープニングSSで、なんとソルドがベストタイムを奪い、同じく2本のスペアタイヤを積んだミケルセンを捕らえて2位へと浮上する。

 さらにヌーヴィルもこのステージでセカンドベストを刻んで、ミケルセンの0.4秒差の背後にピタリ、さらに続くサウエルタルのステージではベストタイムを奪取、新しいブレーキパッドのフィーリングに苦しむミケルセンを抜いて3位へと浮上する。

 この時点で残されたのはわずか2ステージ。首位のオジエから20.3秒遅れでソルド、2.7秒差でヌーヴィル、1.4秒差でミケルセンという順位で2回目のループに向かうことになるものの、観戦禁止のエリアで多数の観客が侵入していたため、ドロンタルの2回目の走行となるSS17がキャンセル。これで勝負の行方は14.84kmのパワーステージにもちこされることになった。

 これまでの順位のリバースでの走行となる最終ステージ。3 人のバトルの行方に注目が集まるなか、まずはミケルセンがコースインするも、彼はブレーキに問題を抱えて2、3度コースオフしながらフィニッシュ。新しいブレーキパッドに問題があったのだろうか、リヤのブレーキからは発火しており、彼は表彰台には届かなかったことを悟り、笑顔もなくその場を離れることになった。

 これで2位争いはヒュンダイの二人に絞られた。ベルギー国境にも近いこのステージにはベルギー国旗とヌーヴィル・ファンクラブの旗が数多く振られるなか、ヌーヴィルがそれまで最速だったヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)のタイムを2.5秒上回るベストタイムを叩き出してフィニッシュするも、渾身の走りでフィニッシュしたソルドにわずか0.1秒及ばず、チームメイト対決はソルドに軍配が上がることになった。

 また、オジエはけっきょくこのステージではソルドと同タイムでフィニッシュ、20.3秒の差を守り切り、ラリー・スウェーデン以来の久しぶりの勝利が待つゴールをほっとしたような表情でむかえることになった。

 5位にはヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)、6位にはマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)が続いている。

 次戦は第10戦として予定されたラリー・チャイナが豪雨による道路の被害が大きいことからキャンセルとなったため、1カ月あまりのインターバルをおいた9月末の第11戦ツール・ド・コルスとなる。