WRC2016/05/14

シトロエン、新WRカーの2回目の集中テスト

(c)Citroen

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 シトロエン・レーシングは今週、新しいC3 WRCのプロトタイプマシンのテストを3週間ぶりにポルトガルのグラベルステージで再開した。

 さまざまな天候のなかで4日間にわたって行われた今回のテストでは、クリス・ミークとステファン・ルフェーブルが2017年WRカーのステアリングを握り、ポルトガルのグラベルステージで可能なかぎり多くの距離を走ることに集中した。

 3週間前に南フランスで行われた最初の本格的なテストのあと、シトロエンはヴェルサイユのテクニカルセンターにおいて開発テストの第2セッションのためにプロトタイプマシンの準備を行い、そしてテストが行われるポルトガルのアルガルヴェ地方をめざした。チームは雨、みぞれ、霧、そして時折日射しに恵まれながらも4日間の集中テストに取り組むことになった。

「我々はこのようなさまざまなコンディションでできたことを実際に喜ばしく思っているよ」と語るのは、シトロエン・レーシングのテクニカル・ディレクターを務めるローラン・フレゴシだ。

「テストでは我々はいくつかの目的を持っている。明らかに、我々はさまざまなコンポーネンツの信頼性を確認したいからね。走行距離を記録することによって、各パーツの仕様を弾き出せるのだ。しかし、我々の仕事はパフォーマンスと同時にドライバーの快適さを見つけることにも焦点を当てている」

 フランスの先端科学技術開発のエキスパートを輩出するフランス国立応用科学院リヨン校を卒業したフレゴシは、シトロエンがZXグランドレイドでダカール・ラリーを席巻していた1995年にシトロエン・レーシングに加わった。

 彼はその後、チームがクサラ・キットカーとともにラリープログラムを開始する、そのスタート時点からすべてのラリーカーの開発に関わり、2005年にクサビエ・メステラン・ピノンの後を引き継いでシャシーのチーフデザイナーに就任、そして同じく彼のあとを継いで2017年からテクニカル・ディレクターに就任した。

「我々の新しいWRカーが大きな問題に遭遇することなく2つの長いテストセッションを走りきることができたのを見たのできわめて満足している。ちょうど一年以上にわたってこの作業に取り組んできた人にとっては本当に報いるものだった」とフレゴシは語った。

「いつものように、我々はFIAの規則やブランドのマーケティング目標に基づいて、一連の仕様を描くことから始めました。我々はベースモデルを選択した後、主要部品のレイアウトを定義するために、CADデータを取得した。エンジン、トランスミッション、燃料タンク、スペアホイールなどだ。ロールケージの設計は、これらすべてのボリュームとともに乗組員のポジションが元になる」 

 そうして最初の図面を製作することを要請し、各デザインチームがそれぞれのパートのデザインの作業に取りかかった。  

「アプローチは常に同じだ。耐久性、軽量化を求めるいっぽう、重心をより下げるためには暗黙のうちの調整がある。ドライバーだけでなくエンジニアやテクニシャンも意見を求められる。たとえばサービスで交換される可能性があるパーツの取り外しの改善などのためにもこうしたことは必要なのだ」

「いつものように世界ラリー選手権でのこれまでの20年間、世界最高レベルにおける経験が作業に織り込まれてゆく。しかし、DS3 WRCの開発を完了することで、知識基盤を強化することにもなった。2014年にすでに開発は縮小していたが、我々は将来のためにいくつかの新しい解決策を試してみたかった。我々はC-エリーゼWTCCのエンジンを使用し、来年登場することになるパワーレベルと同じものにすぐに到達することになった。また最新のサスペンションシステムもテストした」

 図面がコンピュータの設計事務所で仕上がったら、それらはトランスミッション、サスペンション、ステアリング、ブレーキ、エレクトロニクス、プラスチック部品などのさまざまなワークショップに渡されることになる。それらの部品が仕上がり最初のプロトタイプが組み立てられるまでわずか1カ月未満だったという。

「一部の部品が製作に時間がかかったので危機的な状況もあった。ワークショップではテクニシャンたちが時間にジャストに間に合わせるように誓い、それにむけて必死の努力をしてきた。我々はすでに2回のテストセッションを行ったが、実際にはまだ作業は始まったばかりだ。データとドライバーのフィードバックを分析することで、もっとも効率的なソリューションを選択して技術的な定義を導くのに役立つ」

「我々はまた、まもなくターマックでのテストのために使用される第二のテストカーを準備している。シャシーからエンジンまで、もちろんトランスミッションやエアロダイナミクスを含み、こうした作業の繰りかえしが、2017年のデビュー戦となるラリー・モンテカルロのためのホモロゲーションの取得が必要となるときまで続けられるのだ」