WRC2016/06/17

シトロエン、高速フィンランドで空力テスト

(c)Citroen

 シトロエン・レーシングは先週、2017年のWRカー開発のための第3段階のテスト・セッションを行うためにフィンランドの道路を選んでいる。クリス・ミークとクレイグ・ブリーンは大きなジャンプが連続するステージをフロントとサイドウインドウに「TEST 3」と描かれたシトロエンC3 WRC2017で走り抜けながら、クルマの空力パフォーマンスのテストを行っている。

 フィンランドは世界でも屈指のハイスピードを誇り、起伏に富んだその特徴をもつ。シトロエンは、南フランスの起伏の多い地形やポルトガルの泥道のあとに、引き続きクルマの信頼性やパフォーマンスの査定を続けるためにフィンランドをテストの場所に選んだ。

 シトロエンの新しいWRカーのプロジェクト・マネジャーであるアレクシス・アヴリルは、2017年マシンのデザインにおいて空力が大きな鍵の一つになると語った。

「FIAの新しい規定によってこれまでよりもずっと幅広い範囲での空力的な解決策が可能になっている」とアヴリルは語った。

「WRカーのボディワークは原型のモデルのそれを完全に網羅し、幅は1875?以内に設定されなければならない。この枠組みの中で我々にはホイールアーチやバンパーをデザインする上でかなりの自由が与えられる。我々はまた、ドアポストの開発だったり、リヤブレーキの冷却のために吸気口を作り、ディフューザーを付け足すことなどもできる。逆説的に、リヤウィングのデザインに関しては今日よりも制約は多くなるが、さらに後方に高く上げられた位置により、その効率は10倍増加することになる」

 エアロダイナミクスは、最大限のダウンフォース、最小限のドラッグ、そして最大限の冷却機能を得るための複雑な方程式への解答が求められる。これを達成するため、シトロエンのエンジニアたちは今ではスタンダードとなっているCFD(計算流体力学)解析のデザインアプローチを取り入れている。

 C3 WRC2017は、ハイスピードのジャンプでリヤのドラッグが強すぎるような着地の姿勢を示しているが、アヴリルはこのマシンの空力デザインがまだ過渡期のものであると語っている。

「我々はCFD(計算流体力学)の計算から取り組みから始めた。レースカーがプロダクション・モデルと類似するようにシトロエン・デザイン・スタジオと共同で作業している。このデータから我々は風洞実験で仕様されたモデルを製作した。テストで得られたデータを活かしながら、CFDの計算を繰りかえし進めてより洗練されたデザインを突き詰めることになる」