WRC2016/05/23

シュコダのティデマンド、WRC2で圧巻の優勝

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 ラリー・デ・ポルトガルのWRC2カテゴリーは、シュコダ・モータースポーツのポントゥス・ティデマンド(シュコダ・ファビアR5)が今季からコドライバーに迎えたヨナス・アンダーソンとのコンビでの初優勝を飾ることになった。

 ヨーロッパのグラベルラウンドの緒戦となったポルトガルのWRC2には25台がエントリー。錚々たる顔ぶれのなか、ティデマンドは木曜日の夕方にロウサダで行われたスーパーSSからラリーをリードする。

 ティデマンドは本格的なグラベルステージに舞台を移した金曜日も朝から快走、この日行われた7SSのうち5ステージでファーステストタイムを奪い、早くもDAY1を終えてアルゼンチンでWRC2優勝を飾ったペルーのニコラス・フックス(シュコダ・ファビアR5)に35秒あまりのリードを築くことになる。

 好調なスタートを切ったティデマンドに対して、誤算のスタートとなったのは選手権リーダーのエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタR5)だ。金曜日の朝からクラッチに問題を抱えた彼は朝のループでさらにターボの問題によって38秒をロス、さらに追い上げを期した午後のループでもアンチロールバーを壊して首位から53秒遅れの3位で初日を終えることになった。

 だが、勝利に執念をみせるエヴァンスは土曜日の朝から驚くべき速さでティデマンドに襲い掛かる。SS10 の2番手タイムで10秒あまりを縮め、さらにSS11マライでのトップタイムで43秒差の2位に浮上してみせる。だが、次のロングステージでもスプリットで10秒近く差を縮める速さをみせたところで彼はクラッシュ、フロントサスペンションを壊してリタイアとなってしまった。

 これで勝利がほぼ確実になったかにみえたティデマンドだが、不運が彼にも襲いかかる。1分30秒あまりをリードして迎えたSS14で彼はパンク、ステージ中にタイヤ交換を強いられ、なんと2.6秒差でフックスに首位を譲ることになったのだ。

 しかし、ティデマンドはこのトラブルにも動じることなく二日目の最終ステージでフックスを34秒も引き離す圧巻のベストタイムで逆転、最終日も盤石の走りをみせて最終的にフックスに1分28.8秒差をつけて優勝を飾ることになった。

 最終日に俄然注目を集めたのは、昨年のドライブDMACKフィエスタ・トロフィー・ウィナーのマリウス・アーセン(フォード・フィエスタR5)とオーストラリアのスコット・ペダー(シュコダ・ファビアR5)による3位争いだ。

 初日朝のパンクで18位まで後退したペダーは金曜日を11位で終えることになったが、二日目にもっとも輝いたドライバーになり、SS14のトップタイムのほか2度のセカンドベストを奪って、アーセンまで10.2秒差の4位まで追い上げて最終日を迎えていた。

 ペダーは、オーストラリアの国旗をたなびかせて猛然とスパートした最終日、オープニングステージでアーセンを16秒以上も上回る速さをみせて逆転することに成功する。しかし、彼はなんと最終ステージの最後のセクションでスピン、わずか0.2秒差でアーセンに表彰台を譲ることになった。

 5位には地元ポルトガルのミゲル・カンポス(シュコダ・ファビアR5)、DMACKトロフィーからステップアップしてきたギラン・ド・メヴィウス(シュコダ・ファビアR5)がデビュー戦を6位でフィニッシュすることになった。

 2009年以来のグラベルイベントとなったフランスのヨアン・ボナート(シトロエンDS3 R5)もテストをしないまま本番を迎えたが、7位で完走をはたしている。

 シュコダ・モータースポーツのヤン・コペツキ(シュコダ・ファビアR5)は初日の午後にダブルパンクに見舞われてスペアタイヤを失ってリタイアになり、ラリー2で復帰したものの10位に順位を戻すのが精一杯だった。

 ジュリアン・モーラン(シュコダ・ファビアR5)も初日にスピンした際にエキゾーストを破損して5分をロスしたほか、パンクによる遅れでいいところを見せられずに13位に終わっている。

 ラリー・メキシコでWRC2優勝を飾った新鋭テーム・スニネン(シュコダ・ファビアR5)も不運なスタートとなった。金曜日の最初のステージをスタートしてわずか数100メートルで彼はサスペンションを壊してリタイア、二日目にもSS15でふたたびデイリタイアとなって結局17位に終わったものの、実際に走行した10SSのうち4ステージでベストタイムを出す速さをみせている。

 クビサの元コドライバーだったマシエイ・スチェパニアクと組んでWRC2プログラムに挑んでいるポーランドの若手、フーベルト・プタシェック(プジョー208T16 R5)は、4位につける速さをみせていたあと、二日目の午後にドライブシャフトを壊して12位まで後退することになってしまった。さらに彼は最終日、ファフェのジャンプで着地に失敗、マシンの前後を壊しただけでなく、スチェパニアクが背中を痛めてしまったため続行を諦めている。

 また、ジュニアWRCチャンピオンのカンタン・ジルベール(シトロエンDS3 R5)は初日こそ4位につけたものの、二日目のオープニングステージでクラッシュ、さらにラリー2で臨んだ最終日にはまたしてもオープニングステージのファフェでリタイアとなり、課題を残してラリーを終えることになった。

 ERCジュニア・チャンピオンのエミル・ベルクヴィスト(シトロエンDS3 R5)にとっても試練の週末となった。彼は初日、横転したホセ・シュアレス(プジョー208 T16)が巻き上げるダストで視界を失ったため4位から13位へと後退。さらに二日目にはSS13でオルタネータの問題でストップ、日曜日も最終ステージを終えてポルトに向かうロードセクションでふたたびメカニカルトラブルに見舞われてリタイアとなっている。