RallyCross2016/04/18

ソルベルグ世界RX開幕戦優勝、ローブ5位デビュー

(c)WorldRX

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 2016年世界ラリークロス選手権開幕戦のポルトガル・ラウンドが17日に最終日を迎え、ディフェンディングチャンピオンのペター・ソルベルグ(シトロエンDS3 RX)がファイナルレースをポール・トゥ・ウィンで制し、今季初優勝を飾ることになった。また、チーム・プジョー・ハンセンから世界RXのデビュー戦に挑んだセバスチャン・ローブ(プジョー208 WRX)は5位で緒戦を終えている。

 雨によってマディなコンディションとなった初日と打って変わって最終日は晴れてドライな路面のなかで争われることになった。ソルベルグは予選初日、トリッキーなコンディションのなか慎重な走りで7位にとどまったものの、日曜日のQ3では1番手タイムで4位に浮上、Q4でも2番手タイムで予選2位でセミファイナルへと進出していた。

 クリーンな走りでセミファイナルを制したソルベルグは、ローンチコントロールに問題を抱えていたものの、ファイナルレースをポールポジションから快心のスタートを決めて1コーナーをトップでクリアする。いっぽう、フロントローからスタートしたフォルクスワーゲンRXスウェーデンのヨハン・クリストファーソン(VWポロRX)はスタート直後の1コーナーでのソルベルグとのバトルを避けるようにそのままジョーカーラップを選択する。

 ソルベルグはこのまま順調に首位で周回を重ね、これにおよそ0.7秒差の遅れでロビン・ラーソン (アウディA1)、EKS RXチームのトーマス・ヘイッキネン(アウディS1 RX)が続く展開となったが、その後方ではすでにジョーカーを済ませたクリストファーソンが3ラップ目にはファイナルのベストラップとなるただ一人38秒台のタイムを出して上位陣を猛追していた。3ラップを終えて、ソルベルグとクリストファーソンの差は3.7秒。ジョーカーでのロスを3.6秒とするともはや計算上は二人の差は0.1秒しかないことになる。

 そして4ラップ目にソルベルグがジョーカーを選択する。しかし、タイミングシステムが予測したとおり、彼がコースに戻った際にコーナーをクリアしてきたクリストファーソンが真横に並び、二台は軽く接触、クリストファーソンはイン側にはじき出されてスピンしてしまう。クリストファーソンはコースに戻るもリヤサスペンションにダメージを受けており、ふたたびスピンして万事休す。予選3位と週末を通して速さをみせていたものの、リタイアとなってしまった。

 これでソルベルグを脅かす者はいなくなり、彼は残されたラップを快走。雨による波乱のレースウィークのはじまりとなったが、終わってみればディフェンディングチャンピオンが快心の勝利で2016年をスタートすることになった。

 2 位には0.847秒差でラーソン、3位にはヘイッキネンが続き、昨年のカナダ以来のポディウムを新チームで獲得することになった。

 いっぽう、2013年にフランスで行われたヨーロッパ・ラリークロス選手権でファイナルを逃した経験をもつローブだったが、予選のQ4でジョーカーラップの進入スピードを誤ってミスするなどは世界RXデビュー戦への明らかな戸惑いが見られたものの、それでも予選7位でセミファイナルに進出、上位陣の混乱によってファイナルへと駒を進めていた。

 ローブはセカンドグリッドから好スタート、1周目にクリストファーソンとともにジョーカーラップを選択し、そのまま3ラップ目までクリストファーソンの背後にピタリとつけて、フィニッシュすればポディウムの可能性のあるペースで快走する。しかし、彼は4ラップ目にクリストファーソンのスピンに巻き込まれる形で失速、フーニガンレーシングのアンドレアス・バックルド(フォード・フォーカスRS RX)にもコースの外に押し出されてしまい、デビュー戦は5位に終わることになった。

 また、Q2とQ4を制して予選トップでセミファイナルに進んだEKS RXチームのマティアス・エクストローム(アウディS1 RX)だが、1コーナーで発生したチーム・プジョー・ハンセンのティミー・ハンセン(プジョー208 WRX)とラーソンの接触に巻き込まれて進路を失いタイムをロス、ファイナルを逃す大波乱となってしまった。

 ティミー・ハンセンにとっても不運な週末となった。彼は初日Q2のジャンプスタートで苦境に立たされたものの、どうにか予選9位でセミファイナルに進出。しかし、1コーナーで無理な進入を試みたことでラーソンと接触、メカニカルトラブルでリタイアとなってしまった。

 プラクティスでいきなりトップタイムを奪って驚かせたオルスベルグMSEのケヴィン・エリクソン(フォード・フィエスタST)は8位でセミファイナルに進出、最終ラップで3位に浮上したものの、バックルドの突撃にあってデビュー戦でのファイナル進出を逃している。チームメイトのニクラス・グロンホルム(フォード・フィエスタST)は前日に続いてQ3でもコースアウト、セミファイナル進出が絶望的となったが、Q4のレース1では次戦につながる初勝利を挙げている。

 フーニガンレーシングのケン・ブロック(フォード・フォーカスRS RX)は最終日もQ3とQ4でオフするなどセットアップの決まらないマシンに苦戦、18位に終わっている。

 世界ラリークロス選手権の次戦は5月7〜8日にドイツのホッケンハイムで行われる。