WRC2016/06/12

ヌーヴィル、サルディニアの二日目も首位キープ

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 WRC世界ラリー選手権第6戦のラリー・イタリア・サルディニアは11日にDAY2を迎え、ヒュンダイ・モータースポーツのティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)がこの日も勝負どころで速さをみせて首位をキープ、フォルクスワーゲン・モータースポーツのヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)が16.7秒差でつづく展開となっている。

 ラリー・イタリア・サルディニアの土曜日はラリー最長となる44.26kmのモンテ・レルノの2回の走行を含む、6SS/177.70kmという過酷な一日。11.1秒差のリードで二日目をスタートしたヌーヴィルは、オープニングステージのモンチ・デ・アラこそラトバラを0.6秒上回り、その差を11.7秒差へと広げたものの、リヤデフの問題が解決したラトバラが逆襲を開始することになった。

 ラトバラはSS11コイルーナ〜ローレではリヤにハード、フロントにソフトという変則的なタイヤの組み合わせを成功させて2番手タイム、これに対してヌーヴィルはペースを上げられず、「昨日のようなスムーズなリズムで走れない」と首をかしげることになる。ヌーヴィルはSS11と12の2つのステージで8.6秒を失い、朝のループを終えてラトバラに2.9秒まで詰め寄られることになってしまう。
 
 しかし、このまま波に乗れないかに見えたヌーヴィルだが、デイサービスを挟んだ午後のループの最初のステージで勝負を賭ける。彼はバンピーなセクションで石をヒットしてクルマが浮き上がるほどの危ない瞬間に見舞われながらも1番手タイムで発進、コースにちらばる石にナーバスになったというラトバラを10秒あまり突き放し、その差を13.7秒へと広げることに成功する。

 ラトバラもこの日最後のラリー最長ステージ、モンテ・レルノでは全開での勝負に挑み、「このタイムをティエリーが上回ったら彼を尊敬する」という自信をみせたが、ヌーヴィルはそのタイムを3.2秒も上回ってみせ、マージンを16.1秒へと広げて、明日の最終日を迎えることになった。

 白熱したバトルになったのは3位争いだ。初日よりもグラベルが多いステージで路面掃除に苦しむことになったセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)はソフトタイヤを武器に渾身の走りで攻めるも、オープニングステージのSS10では8番手タイム、SS11では7番手タイムにとどまり、3位キープが危うい状況となってきた。

 続くラリー最長ステージのモンテ・レルノの1回目の走行ではMスポーツ・ワールドラリーチームのマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)は、トップタイムを奪い、アンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)を抜いて4位に浮上、とうとうオジエまで0.3秒差まで迫ってきた。

 オストベルグは午後のループでペースを上げたオジエにやや引き離されるも、SS14でリヤデフに違和感を抱えたオジエを捕らえるチャンスがあるかにみえたが、最終ステージでドライブシャフトを壊してスロー走行、フライングフィニッシュまであとわずかのところで破損によりダメージを受けていたエンジンを止めることになった。オジエは首位からは58.9秒遅れとなったものの、後方もまた1分以上離れており、路面掃除というハンデを負いながらも表彰台を確実なものとして二日目を3位でフィニッシュした。

 また、ミケルセンは朝のループでオストベルグに抜かれて4位に落ちたとはいえその差はわずか2.9秒、午後のループでの逆転は可能にも見えた。だが、デイサービスのあとのタイムコントロールに遅着、10秒のペナルティを受けたことで順調にみえた彼のラリーの歯車が狂いだす。ミケルセンは「照準はオストベルグではなくあくまでオジエ」と語り、表彰台への固い決意をみせたが、突然の強い雨に見舞われてステージ前半に水たまりができたSS14コイルーナ〜ローレで岩にクラッシュ、サスペンションを壊してリタイアとなっている。

 オストベルグとミケルセンの二人のリタイアによって4位に浮上したのは、ヒュンダイ・モータースポーツのダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)。彼は初日につづいてスロットルがスティックして効かなくなる問題やオーバーヒートの問題に悩まされながらもここまで順位を上げてきた。

 オット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)は、朝のループのSS11コイルーナ〜ローレではDMACKタイヤにとっての3回目のスクラッチのベストタイムを叩きだしてみせるも、路面温度が上がる長いステージではタイヤの耐久性に悩まされるラリーとなっている。SS13ではストレートで突然のバーストにヒヤリとする瞬間もあり、ソルドからは2分30秒もの遅れとなっている。

 リヤデフの問題から初日17位に終わったエリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)は、二日目は走行ポジションにも恵まれて、完調に戻ったマシンで追い上げる一日となった。彼はオープニングSSで2番手タイムを叩きだしたほか、ラリー最長のモンテ・レルノではブレーキに問題を抱えながらも2回とも3番手タイムを並べて7位まで急浮上してきた。

 プロペラシャフトを壊して初日を25位で終えたヒュンダイ・モータースポーツのケヴィン・アッブリング(ヒュンダイi20 WRC)はSS10で初のベストタイム、SS13でも2番手タイムを記録して追い上げる速さをみせたものの、SS14のジャンプの着地でギヤボックスのケースを破損、オイルの漏れ始めたマシンを労りながらペースを落として、どうにか17位でフィニッシュすることになった。

 最終日はカーラ・フルミーニとサッサリ〜アルジェンティエラの2つのステージを2回ループする4SS/42.04kmという短い一日となる。ヌーヴィルが2014年のドイツ以来の勝利を挙げるかどうか、最後のバトルに注目が集まる。