18年間に世界ラリー選手権において102回のスタートを切り、18回の表彰台と5回の優勝を果たしたポール・ネーグルは、ラリー・デ・エスパーニャのフィニッシュラインをクレイグ・ブリーンが通過したところでWRCのキャリアに幕を下ろした。
ネーグルが最後のノートを読み上げると、2人は感謝の言葉を交わし、フィニッシュ地点で待ち受けるアイルランド国旗に向かって最後のストレートを駆け抜けた。フィニッシュラインを待たずして彼らは2人とも感動を抑えることができなかった。
ネーグルは気持ちを落ち着かせるために少し時間を置いた後、WRC All Liveのインタビューにおいて、キャリア最後のタイムコントロールに到達したことに感動していると語った。
「僕はこの20数年間、ラリーでキャリアを積んできて、それは僕の人生の半分以上を占めている。だから感動するのも仕方ない。人間だからね、それは予想していた」とネーグルは語った。
「自分のキャリアを本当に楽しんできた。ジェットコースターのような旅だった。僕は夢を追う若者としてここに来て、そして5回の優勝、18回の表彰台を獲得し、夫となり、父親となり、友人ができ、そして一生の思い出ができた。それらすべての思い出を今後何年も大切にするだろう」
ジェットコースターという例えは正しい。ネーグルほど、困難な状況に対処し、劇的な瞬間にドライバーに寄り添ってきたコドライバーはほとんどいない。
ブリーンの長年のコドライバーであったギャレス・ロバーツが2012年のタルガ・フローリオで事故死した数ヵ月後、ブリーンの人生が最も困難な時期に彼をふたたびラリーの世界に導いた。またクリス・ミークと一緒にシトロエンの浮き沈みを経験した。その間に結婚して家族を持った。
「世界の素晴らしい場所を見て回り、素晴らしい人たちにも出会えた。ここには親友が何人もいる。またこのスポーツは劇的に進化している。僕は3世代か4世代のラリーカーを経験することになった」
「信じられないほどの旅だった。実際に何をしているのか、小さなコミュニティとして世界中をどんなふうに旅しているのかを説明するのは非常に難しい。しかし、僕はそれらを非常に恋しく思うだろう」
「競争相手との友情が恋しくなるだろうし、ここにいるコドライバーの何人かは僕の親友だ。本当に寂しいよ。それでも人生は続く」
「ひとつの時代の終わりだ。僕はファクトリーチームで最も古いコドライバーのひとりで、素晴らしい経験をしてきたので、文句の言いようがない。自分が思っていたよりもずっと多くのことを達成できたし、自分が成し遂げたことを誇らしく思っている」
シーズン最終ラウンドのラリー・ジャパンでは、ジェームス・フルトンがブリーンのために初めてコドライバーシートに座ることになる。ネーグルは日本に同行し、また来シーズンの開幕ラウンドであるラリー・モンテカルロにも同行する予定だ。