ERC2016/04/10

ブリーンが2年連続でERCアイルランドを制す

(c)Circuit of Ireland

(c)ERC

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 ヨーロッパ・ラリー選手権第2戦のサーキット・オブ・アイルランドは9日に最終日を迎え、クレイグ・ブリーン(シトロエンDS3 R5)がパンクに見舞われながらも首位をキープ、2年連続でホームイベントでの勝利を飾ることになった。

 初日を終えて25.1秒をリードしたブリーンは連勝にむけて好スタートを切ったかに見えたが、最終日、朝のループに向けてスーパーソフトタイヤをチョイス、これが徒となってペースが上がらない。マディなセクションが多かった最初のステージではソフトタイヤを選んだカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)よりタイムを上げるはずが12秒あまりをロス、さらにステージは少しずつ乾きだしたため、彼はじわじわとタイムを失い、デイサービスを迎えた時点で2位につけるカイエタノビッチに10.4秒差まで詰め寄られてしまう。

 それでもブリーンは「これはギャンブルだったのではなく、やや保守的だっただけだ」と選択のミスではなかったと強調、午後のループでの巻き返しを誓っていた。

 ブリーンは宣言どおりに次のSS11で好タイムを刻み、カイエタノビッチとの差を12.3秒へと広げてみせる。しかし、雪がちらつき始めたSS12ハミルトンズ・フォーリーでまさかのドラマが待っていた。ブリーンはコース上に掻き出されていた大きな石を避けることができずに左リヤタイヤをパンク、カイエタノビッチに5.2秒差まで詰め寄られてしまった。

 残されたのはわずか2つのステージ。スペアタイヤを1本しか搭載していなかったブリーンにとってもはやミスが許されない状況となったが、いっぽうのカイエタノビッチは予想以上に多くの路面がドライコンディションだったにもかかわらずウェットタイヤを午後のループで選んでいたためペースが上がらない。「限界で攻めた」というブリーンが10.6秒差で逃げ切ることに成功し、2年連続優勝を成し遂げることになった。

 それでもカイエタノビッチは、選手権を争うアレクセイ・ルクヤヌクがプレテストでイベントを欠場したため、選手権リーダーに躍り出している。

 終始、堅実な走りで3位フィニッシュしたのはアラステア・フィッシャー(フォード・フェスタR5)。叔父のバーティ・フィッシャーが3度優勝している一家にとってはメモリアルイベントでアラステアはERC初のポディウムを獲得している。

 マーティン・マコーマック(シュコダ・ファビアS2000)は総合4位につけてイギリス選手権をリードしていたものの、SS9ブルスブルックで燃料ポンプのトラブルに見舞われてリタイアとなってしまった。代わって総合4位でフィニッシュしたジョシュ・モフェット(フォード・フィエスタR5)がイギリス選手権の優勝を飾ることになった。

 初日のトップ10がリバースでスタートした最終日、1番手のポジションでスタートすることになった初日10位のデビッド・ボギー(シュコダ・ファビアR5)と2番手でスタートした初日9位のジョナサン・グリアー(シトロエンDS3 R5)はクリーンな路面コンディションに恵まれて快進撃をすることになり、グリアーが5位、ボギーが6位でフィニッシュすることになった。

 初日にサスペンションを壊して4位から7位に後退したフレデリック・アーリン(フォード・フィエスタR5)はこの日のオープニングステージでも3番手タイムで上位躍進が期待されたが、SS8のパンクにつづいてSS9でもスピンとオーバーシュート、SS10ではコースオフを喫してデイサービスを前にリタイアとなっている。

 また、初日にオーバーヒートでリタイアとなったエルフィン・エヴァンス(フォード・フィエスタR5)は最終日にリスタート、4つのステージウィンを獲得したもののハミルトンズ・フォーリーで石の壁にヒットしてリタイアとなってしまった。ERCレギュラーメンバーのヤロミール・タラブス(シュコダ・ファビアR5)も終盤まで5位につけていたものの、SS14でメカニカルトラブルでマシンを止めている。

 ERCジュニア選手権は、初日をリードしたオペル・ラリー・ジュニアチームのマリヤン・グリーベル(オペル・アダムR2)がハミルトンズ・フォーリーでフロントタイヤをパンク、ポーランドのウーカシュ・ピニアンゼック(オペル・アダムR2)が優勝することになった。

 オペル・ラリー・ジュニアチームに移籍したばかりのクリス・イングラム(オペル・アダムR2)がじょじょに速いペースを掴んで2位でフィニッシュ。初日2位につけていたニコライ・グリアジン(プジョー208 R2)はタイヤチョイスのミスで遅れて4位でゴールすることになった。

 ERC次戦は5月6〜8日に行われるアクロポリス・ラリーとなっている。