WRC2016/05/22

ミーク、VW勢を引き離して首位独走

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 FIA世界ラリー選手権第5戦ラリー・デ・ポルトガルは21日にDAY2を迎え、アブダビ・トタル・ワールドラリーチームのクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)がセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC )に45.3秒もの大差をつけている。

 土曜日はマトジニョスの東に位置する37.67kmのアマランテのロングステージが含む6SS/165.28kmという長い一日となる。すでに前日を終えて31.9秒という大差を得ているミークは、二日目も10番手という有利なポジションからスタート、オープニングステージをベストタイムで発進する。

 前日よりさらにドライコンディションとなったことでオジエはオープニングステージで早くも11秒を失い、二人の差は43.1秒へと広がってしまった。気温は低く、天気予報は雨の降る確率を80%と伝えており、オジエは「少しだけでもいいから湿ってほしい」と本音をもらしたものの、まだ雨が降り出しそうな気配はない。

 ミークはさらにS11、12と連続してベストタイムを奪取、朝のループを終えて、前日までにつけていた差を倍近い1分2.9秒へと広げてサービスへと戻ってきた。

 ミークは、すでに十分なリードを得たと確信したのか、スペアタイヤを2本搭載、重量の増加によるタイムロスを承知のうえでセーフティな戦略に切り替えて午後のループへと向かう。ミークは、安定性を望んだはずが、かえってバランスを欠いたマシンに苦しみ、午後の3ステージのタイムはいずれもトップ3を逃すことになり、17秒あまりを失ったものの、オジエに対して45.3秒という大量のマージンを得たまま、明日の最終日に臨むことになった。

 ミークが堅実な走りで首位をキープするいっぽう、アンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)の追い上げが土曜日のハイライトとなった。

 朝から2ステージ連続して2番手タイムを奪ったミケルセンは、ダスティなステージでペースが上がらないダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)をSS12のアマランテのステージでパス、3位へと浮上してきた。

 ミケルセンはさらに午後のループでもペースをアップ。SS13、14と連続ステージベストを奪った彼はオジエに0.5秒差まで急接近する。SS15こそオジエがベストタイムを奪ったものの、ミケルセンはオジエのわずか3.1秒後方の3位で最終日を迎えることになった。

 マシンの速さとバランスには自信がありながらも、スリッパリーなコンディションではまだまだVWのスピードに及ばないと頭をひねるソルドは4位でこの日を終えている。

 5位に浮上してきたのはMスポーツ・ワールドラリーチームのエリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)。彼はSS10で3番手タイムを奪い、チームメイトのマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)を抜くことに成功した。

 前日、パワーステアリングの問題から9位まで後退したヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)は朝のループで全ドライバーがソフトタイヤを搭載するなか、ハード2本を組み合わせるギャンブルに打ってでる。しかし、思ったほど気温が上がらなかった早朝のステージでは7番手に終わるも、朝のループの最後のステージでは2番手タイムを奪い、リヤのドライブシャフトを破損したオストベルグを抜いて、6位まで浮上してきた。

 前日の最後のステージでペースをつかんだティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)は3位争いに加わるチャンスもあるようにも見えたが、朝のループの2つめのステージでまさかのガス欠のためにマシンをストップ、リタイアとなってしまった。また、彼の後方につけていたステファン・ルフェーブル(シトロエンDS3 WRC)もこの日のオープニングステージでサスペンションを壊してリタイアとなってしまった。

 明日の最終日は22.47kmのヴィエイラ・ド・ミーニョと11.19kmのファフェのステージをノーサービスで2回ループする4SS/67.32kmの一日。独走しているミークが昨年のアルゼンチン以来の2勝目を飾るのだろうか。オジエの期待を裏切るように二日目が終わるのを待っていたように降りはじめた雨が、さらなるドラマを呼ぶことになるのだろうか。