WRC2016/05/23

ミークが2度目の優勝、2位争いはミケルセンに軍配

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 FIA世界ラリー選手権第5戦のラリー・デ・ポルトガルは22日に最終日を迎え、アブダビ・トタル・ワールドラリーチームのクリス・ミーク(シトロエンDS3 WRC)が昨年のラリー・アルゼンチンに続く2度目の優勝を飾ることになった。

 ポルトガルの最終日は、22.47kmのヴィエイラ・ド・ミーニョと11.19kmのファフェのステージをノーサービスで2回ループする一日となる。曇り空の朝となったものの、昨夜かなりまとまった雨が降ったため、オープニングステージのヴィエイラ・ド・ミーニョはそれまでの二日間とまったく異なり、かなりのウェットなコンディションとなっており、まさしく何が起きてもおかしくない舞台となっていた。

 首位のミークはすでに45.3秒もの大差をつけて最終日を迎えているため、もはや何か問題さえ起きなければ追いつかれる心配はない状況だ。ところが、このコンディションで問題に見舞われたのは、なんと2位につけていたセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)だった。右フロントタイヤをスローパンクした彼はミケルセンに抜かれて5.7秒差の3位に後退してしまう。

 マディなコーナーもあったこのステージでミークは10秒近くも失い、リードを38.5秒としたものの、オジエのタイムを見て、安全圏にいることを確信したようだった。彼は次のファフェこそふたたび3番手のタイムを出したものの、2回目のループではセーフティモードに切り替えてペースをダウン、最終ステージも8番手タイムにまとめて首位を守りきることに成功、今季は限定的な参戦となるものの、有利なスタートポジションを味方にしてポルトガルを制することになった。

 いっぽう、オープニングステージのオジエのスローパンクでまったくわからない状況となった2位争い。オジエはスペアを1本しか搭載していなかったため、これでもはやパンクは許されなくなった。彼はこの遅れを取り戻すために本気で攻めるわけにいかずにじりじりとタイムを失い、最終ステージを前にしてその差は6.8秒と開くことになった。

 そして、ここでさらなる問題がオジエに襲いかかる。彼はもう1本のタイヤがスローパンクしていたことを発見。幸いスローパンクだったため、空気を満たしたタイヤで彼はステージを走りきり、パワーステージを制することになったものの、ミケルセンには4.8秒届かず3位。自身の走りが不満の残るものであったことをその表情が物語っていた。

 ミケルセンにとっては開幕戦につづく2位の表彰台となったが、スクラッチの条件で最終日にオジエを破ることができたため、彼は自身のベストパフォーマンスの1戦になったと喜びを表した。さらに彼はパワーステージで3番手タイムのボーナスポイントを獲得、金曜日に火災でリタイアとなったヘイデン・パッドンとマッズ・オストベルグを抜いてドライバーズ選手権の2位に浮上することになった。

 4位は、シェイクダウンから好調だったヒュンダイ勢の最上位となったダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)。首位争いへの期待はあったものの、すべりやすいコンディションとなった土曜日、リヤのトラクション不足から失速することになり、表彰台には届かなかった。

 自身にとってベストリザルトの5位でフィニッシュしたのはMスポーツ・ワールドラリーチームのエリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)。彼は最終ステージでハンドブレーキを失いスピン、コース復帰に手間取ったため、後方のヤリ-マティ・ラトバラ(VW ポロR WRC)に5.3秒差まで迫られることになったが、どうにか逃げ切ることに成功した。

 ラトバラは金曜日のパワーステアリングのトラブルによって9位まで後退するなかで、どうにか6位まで順位を戻してフィニッシュ、パワーステージでも貴重な2ポイントを加算している。

 オストベルグは初日のシフトダウンの問題や二日目のドライブシャフトの問題によって7位と精彩を欠いたラリーとなってしまった。

 世界ラリー選手権の次戦は、6月9日から12日に予定される第6戦のラリー・イタリア・サルディニアだ。