WRC2016/03/05

ラトバラ、オジエを突き放して初日をリード

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 世界ラリー選手権第3戦ラリー・メキシコのDAY1は、8番手という有利なポジションからスタートしたフォルクスワーゲン・モータースポーツのヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)がラリーをリード、一番手スタートという不利な条件ながらチームメイトのセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)が32.1秒差で続く展開となっている。

 今季初のグラベルイベントとなるラリー・メキシコは、木曜日に行われた3つのナイトステージに続いて、金曜日の朝から本格的なスタートを迎えることになった。この日はラリー最高地点の2743mに達する54.21kmのエル・チョコラテを含む7SS/145.15kmというタフなルートが用意されている。

 オジエは木曜日のナイトステージを終えてラリーをリードしたものの、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 WRC)がわずか1.7秒差で猛追しており、昨年もスタート早々から激しくやり合った二人のトップ争いが今年も繰り広げられるかに見えた。だが、7番手という好ポジションからスタートして、優勝争いの一角に加わることが確実視されていたヌービルが昨年も数々のクラッシュを招いたエル・チョコラテで最初の犠牲者となってしまった。

 スタートして41km地点、クレストを越えた先でスピンしたヌービルは、そのままバンクに激突、左フロントのサスペンションとステアリングアームを壊してストップ。昨年もリタイアしているこのロングステージで2年連続で悪夢のリタイアとなってしまった。

 いっぽう、このステージでトップタイムを奪ったのは8番手という有利なポジションからスタートしたラトバラ。1番手スタートのオジエは路面に深くつもったダストに苦しみ、さらにあやうくコースを横切る牛にヒットしそうにながらも4本ともソフトタイヤというギャンブルを成功させてどうにか22秒のロスにとどめることになったが、ラトバラに抜かれて2位へと後退。オジエは続く15.36kmのラス・ミナースでもラトバラから3.4秒遅れ、朝のループを終えて21.2秒というビハインドとなってしまった。

 サービスに戻ったオジエは、「もしハードだったらさらなるタイムのロスがあった」として、「朝のステージには満足している」とコメント。クリーンになる午後のループに向けて気合いを入れていた。だが、午後になってもラトバラの勢いは止まらない。エル・チョコラテの2回目の走行でもラトバラはオジエを10秒上回るベストタイム、朝ほど大きなギャップとはならなかったが、失ったタイムを取り返す執念をみせたオジエを打ち砕き、二人の差は31.2秒へと広がった。

 オジエは続くSS8で左フロントホイールにダメージを負うほどまでに攻めたものの、ラトバラにはわずか0.5秒届かず2番手タイム。けっきょくオジエは最終ステージでかろうじて0.4秒上回った以外、午後のステージでは一度もラトバラを抜くことはできず、挽回のチャンスを逸してしまう。100戦目のWRCを勝利で祝うはずが、初日を終えて彼はチームメイトに32.1秒もの大差をつけられてしまった。

 トップの2台以外の後続はそろってトラブルに見舞われた一日となってしまった。ダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)はグリップに苦しみながらも朝のループを終えて首位から34秒遅れの3位で続いていたものの、午後の最初のステージからアクセルが完全に戻らない症状とブレーキのオーバーヒートに苦しみ、どうにか3位をキープしたものの1分15.6秒遅れとなってしまった。

 スリッパリーなコンディションに苦しんで朝のループで首位から43秒遅れとなったアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)もレオンのストリートステージでトップタイムを奪ったあと午後のステージで巻き返しを図るかに見えたが、SS7でオーバーシュートした直後からデフのトラブルに見舞われてしまう。彼は4位をキープしたものの、首位からは1分46秒遅れとなっている。

 マッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)とヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)はオープニングステージでハードタイヤ5本を選択、恐ろしく滑るステージで二人は大きく失速、パッドンは48秒遅れの5位、オストベルグも1分をロスして6位といきなり出遅れてしまった。二人のトラブルはさらに続き、パッドンはSS5でリヤサスペンションを壊してふたたび45秒をロスしてオストベルグに抜かれるものの、今度はオストベルグがSS7でジャンプスタートを犯したため、パッドンが5位で初日を終えることになった。

 昨年は貯水湖に転落してしまうアクシデントに見舞われたオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)は朝からグリップに苦しんで7位、昨年のラリーGB以来、久々のWRC出場となるマルティン・プロコップ(フォード・フィエスタRS WRC)が8位、ロレンツォ・ベルテッリ(フォード・フィエスタRS WRC)が9位、WRC2リーダーのテーム・スニネン(シュコダ・ファビアR5)がノートラブルの走りで総合でも10位で初日を終えることになった。

 開幕から2戰連続してリタイアとなっているMスポーツのエリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)はここでも試練となってしまった。彼はSS4の44km地点でパンクのタイヤ交換を強いられて6分のロス、さらに午後は3速のみとなったギヤボックスで大きく遅れ、10分25秒遅れの11位となっている。

 土曜日は、30.38kmのイバリッヤと42.62kmのオテーツというロングステージから始まる9SS/152.40kmという長い一日となる。