WRC2016/03/06

ラトバラ、メキシコ初勝利にむけて快走

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 世界ラリー選手権第3戦ラリー・メキシコのDAY2は、フォルクスワーゲン・モータースポーツのヤリ-マティ・ラトバラ(VWポロR WRC)がこの日行われたショートステージを除く6ステージ全てを制して、1分35.7秒もの大差をつけて今季初勝利にむけて独走状態を築いている。

 土曜日は、30.38kmのイバリッヤから始まり、42.62kmのオテーツと7.15kmのエル・ブリンコを走ったあと、サービスを挟んで16.47kmのアグア・サルカの新しいステージが行われたあと、オテーツとエル・ブリンコの2回目の走行を行い、前日同様にスーパーSSを2回走行したあとさらにレオンのストリートステージで締めくくる9SS/152.40kmという長い一日だ。

 ラリー初日、32.1秒の差を築いてラリーリーダーとなったラトバラは、オープニングステージで左フロントタイヤを岩にヒット、「パンクを覚悟した」というほど衝撃があったものの幸いなことになにもドラマは起こらず、二日目も7番手という有利なポジションを活かしてトップタイムでスタートすることになった。

 いっぽう、この日も一番手からスタートしたセバスチャン・オジエ(VWポロR WRC)は前日よりさらに大量の土砂が積もった路面に苦しみ、30.38kmのこのオープニングステージでラトバラに対して1kmあたり0.65秒というこれまでで最大の遅れを喫して19.8秒をロス、早くも二人の差は51.9秒へと大きく開くことになってしまった。

 さらに続く42.62kmのSS12オテーツのステージでもオジエのペースは上がらない。ここでも1kmあたり0.5秒を失った彼は21.7秒をロス、SS13エル・ブリンコではややペースを上げたものの、朝の3ステージを終えてラトバラから1分16.3秒も遅れてしまう。

 オジエは午後の最初のステージとなる、この日の朝に行われたイバリッヤのショートバージョンとなるSS14アグアザルカでも、思ったほどクリーンになってない路面を攻めきることができずに5.6秒をロス、「もうプッシュすることは止める」と語り、2位キープに完全に集中することを宣言する。

 しかし、明日の最終日に80kmのロングステージが残されていることから、ラトバラはこの言葉を完全に信じることなく午後になっても引き続きハイペースをキープ、SS14からSS16までの3ステージを連続してベストタイムを奪取、とうとうオジエとの差を1分36.3秒まで引き離す。

 この日残された2回走行するスーパーSSとレオンのストリートステージというショートステージを終えて二人の差は1分35.7秒まで縮まったものの、ラトバラは「これだけマージンがあれば、明日の80kmのステージでも余裕がある」と笑みをみせた。

 土曜日のハイライトの一つはアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)の激しい追い上げだった。金曜日にデフのトラブルで遅れた彼はダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)の31秒後方からこの日をスタートしたものの、SS12から3ステージ連続で2番手タイムを叩きだし、ソルドの4.5秒差まで迫ってみせる。ミケルセンは続くSS15ではさらにペースをアップ、31km地点におかれたスプリットタイムの表示では彼はソルドのわずか0.9秒差に迫る速さを示したがその直後、32.6km地点でコースオフ、リタイアとなってしまった。

 ラジエーターのファンの故障からエンジンのオーバーヒートに苦しんだソルドは、ペースが上がらないマシンでミケルセンのプッシュに苦しんだものの、ミケルセンがリタイアしたあとはリラックスして3位をキープした。

 6位で土曜日を迎えたマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)は、最初のステージではシフトトラブルに苦しんだものの、その後は堅実なペースを取り戻して、SS12でリヤサスペンションを破損したヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20 WRC)をパス、ミケルセンのクラッシュによって4位に浮上した。いっぽうパッドンはこのサスペンショントラブルで2分あまりをロス、午後のループで追い上げを図ったものの、エンジンやブレーキにオーバーヒートの問題を抱えて5位となっている。

 DMACKタイヤを装着するオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)はグリップに苦しみながらもトラブルフリーのラリーを続けて6位、マルティン・プロコップ(フォード・フィエスタRS WRC)が7位につけている。

 10位につけていたエリック・カミリー(フォード・フィエスタRS WRC)はオープニングステージのイバリッヤでクラッシュ、3戦連続でリタイアとなった。

 また、初日にクラッシュでリタイアとなったティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 WRC)はこの日のオープニングステージを2番手タイムでスタートしたものの、SS12オテーツの39km地点でハイスピードでコースオフ、二日続けてリタイアとなってしまった。あまりに激しいアクシデントだったため、ヌービルは念のため病院で検査を受けたものの、問題はなかったとチームは発表している。

 明日の最終日はわずか2ステージのみとなるものの、歴史に残る長さを誇る80kmのグアナファトが待ち受けている。