ERC2016/03/13

ルクヤヌクが逆転でERC開幕戦カナリアスに優勝

(c)ERC

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 ロシアのアレクセイ・ルクヤヌクタイヤ(フォード・フィエスタR5)が、タイヤの異常摩耗に苦しんだカイエタン・カイエタノビッチ(フォード・フィエスタR5)を逆転してヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)開幕戦のラリー・イスラス・カナリアスで優勝を飾った。

 3月12日に最終日を迎えたERC開幕戦ラリー・イスラス・カナリアス。時折雨交じりとなった前日の不安定な天候から一転、最終日は青空の下でスタートを迎えた。初日をリードしていながら最終ステージでクラッシュしたマッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタR5)は、最終日のスタートリストに名前を連ねていたものの、結局、チームは修理を断念、彼はスタートを見送ることになった。

 最終日のオープニングステージとなったインへニオのステージは、22.7秒差をつけて初日を終えたカイエタノビッチの素晴らしいトップタイムで始まった。彼はルクヤヌクを5.8秒も上回り、その差をさらに28.5秒まで広げてみせた。

 誰もが多かれ少なかれ、タイヤとブレーキに問題を抱えたこのタフなステージ、ともにピレリのハードタイヤをチョイスしてスタートしたカイエタノビッチとルクヤヌクだったが、「タイヤのオーバーヒートを感じて摩耗させないようにペースを落とした」というルクヤヌクに対して、カイエタノビッチは「素晴らしいグリップだった」とタイヤを絶賛、勝利はラリーリーダーに大きく傾いたかに見えた。

 ところが、このステージを想定より高すぎる空気圧で走ったことからカイエタノビッチのフロントタイヤはかなり摩耗が進行していることが発覚、しかも不運なことに彼はスペアタイヤを1本しか搭載していなかったため、彼は次のSS9で31秒をロスして2.6秒差で首位を陥落、2位に後退してしまう。

 カイエタノビッチの苦闘はSS10でも続き、彼はここでも35秒を失い、ルクヤヌクが36.7秒をリードするというまさかの結果で朝のループを終えることになった。

 完全に右のリヤタイヤを摩耗でぼろぼろにしてステージをフィニッシュしたカイエタノビッチは、タイヤの空気圧を間違えてスタートしたことを悔やんだ。

「右のリヤタイヤは完全に壊れてしまった。大きなミスだった。最初のステージでタイヤの空気圧が間違っていたんだ。しかし、僕らはスペアを1本しか積んでいなかったので、攻めるどころではなかったよ」

 カイエタノビッチは午後のループの最初のステージではルクヤヌクに7.5秒差をつける圧巻の走りをみせて優勝への執念をみせたものの、残された2ステージともルクヤヌクが快心の走りで制して、リードを32.7秒に広げて開幕戦を制することになった。

 初日3位につけていたロベール・コンサニ(プジョー208 T16 R5)は不運な朝となってしまった。彼はパルクフェルメでエンジンが始動できずに1分20秒のペナルティを受けてスタート。しかし、最初のステージでエンジンのパワーロスで失速、さらにブレーキにも問題を抱えることになったため7位で開幕戦を終えることになった。

 彼に代わって3位でフィニッシュしたのは地元のルイス・モンゾン(シトロエンDS3 R5)。彼もタイヤに苦しみながらもこのコンディションを知り尽くした彼はうまくタイヤを労り、SS10ではトップタイムを奪って見事表彰台に立っている。

 最終日に追い上げた地元のヨナトン・スアレス(フォード・フィエスタR5)が4位、総合5位にはスバル・ポーランドのボイチェフ・フフォワ(スバル・インプレッサWRX STI)が続き、彼はすべてのステージを制してERC2の開幕戦の優勝を飾ることになった。また、ERC3もポーランド出身のルーカシュ・ハバイ(プジョー208 R2)が優勝している。

 ERC次戦は4月7〜9日に予定されるサーキット・オブ・アイルランド・ラリーとなっている。