WRC2016/03/05

共通エンジンの新ラリーカー規定をFIAが承認

(c)FIA

 3月4日にジュネーブで行われたワールド・モータースポーツ・カウンシル(WMSC)は、新しいラリーカーのテクニカルレギュレーションとなるR4 キット(RALLY 4WD KIT)規定を承認した。

 このR4キット規定は、アルゼンチンで誕生したマキシカーのアイディアに基づき、FIAとWRCプロモーターが魅力あるエントリーを増やしたいと考えてできるだけ早い時期に導入するために作り上げた新しいテクニカルレギュレーションだ。

 このキットで量産の2WD車を安価に4WDラリーカーにモディファイすることが可能となり、WRカーやR5など現存の各種規定の延長線上に設けられることが意図されているが、バッジだけの違いで中身が同一のラリーカーを広く世界で認めようという動きをマニュファクチュアラー側は強く牽制、もっと早い時期に発表されると見られていたR4 キット規定の詳細に関してFIAはほとんど情報を出さないまま今回の承認へと至ることになった。

 昨年9月のWMSCで新しい4WDラリーカーを作るというアイディアが承認され、FIAは今年の早い時期に関係者にR4キット規定のプロポーザルを提案してきた。それによれば、このキットによって製作されるラリーカーは、およそ12万ユーロほどで300馬力の4WDラリーカーに仕上げることができ、その維持費を含めても、R5のおよそ半額ほどにおさまると説明がなされている。

 FIAによれば、この規定に従ってホモロゲーションを受ける基本的なキットパーツは1種類のみとなり、インポーターやローカルのファクトリーやチームはこのキットを使用してどの市販車でもそれをベースにして4WDラリーカーを製作することが可能となる。

 キットにはターボエンジン(吸排気系を含むそのすべての関連コンポーネンツ)、シーケンシャル・ギヤボックス、4WDの駆動系、サブフレーム、ブレーキ、燃料システム、サスペンションなどが含まれ、サスペンションジオメトリーもすべてのマシンが共通となる。

 R4キットのエンジンは、計画の中間段階では2.3リッター・ターボに小さいリストリクターを装着した方がパフォーマンスを変えずにランニングコストが下がるのではないかというアイディアも検討されていたようだが、結局、最初の段階から有力視されていた1.6リッター・ターボが決定したようだ。

 関係者によれば、このキットパーツで作られたラリーカーをローカルのASNが検査を行ってローカル・ホモロゲーションを認めればその国の国内ラリー選手権への出場が可能となるほか、ASN経由でFIAに情報が伝えられてリージョナル・ホモロゲーションが認められれば、FIAリージョナル選手権で走ることができるという。また、近い将来にはWRCの併催カテゴリーとしてのワールドカップ開催も準備されると言われている。