2023年世界ラリー選手権開幕戦となるラリー・モンテカルロのWRC2選手権では、トークスポーツWRTのニコライ・グリアジン(シュコダ・ファビアRS Rally2)がトップに立っている。
WRCのサポートカテゴリーであるWRC2には昨年までMスポーツ・フォードのオフィシャルドライバーだったアドリアン・フールモーをはじめとしたトップドライバーたちがモンテのWRC2にエントリーしており、激戦の週末になることは間違いなさそうだ。
モナコの山々を舞台に、木曜日の夜にアルプ=マリティーム県にあるコル・ド・チュリニを中心に展開される2つのナイト・ステージで開幕した今年のモンテでは、27人組の期待のクルーたちがWRC2カテゴリー優勝を目指して凌ぎを削る。ここ2回のイベントで勝利を挙げているアンドレアス・ミケルセンは今回欠場しており、新たな勝者が誕生することになる。
初日のナイトステージでペースをみせたのはグリヤジンだ。「藤原とうふ店(自家用)」とボディサイドには書かれているのはこのファビアRS Rally2を峠最速マシンにみたてているのか。彼は、初日の2つのステージともにベストタイムで発進、シトロエン・レーシングからサポートを受ける2人のフランス人ドライバーに16.7秒という圧倒的な差をつけて置き去りにしている。
新型ファビアにとってWRC初参戦となるグリヤジンは、新しいマシンに慣れることに躊躇する様子は見られなかった。2つめのステージではブラックアイスに見舞われたものの、トラブルなく走りきり、オープニングステージを7.9秒差、次のステージを8.6秒差で制した。
「大きなプッシュではなかった。もっとプッシュしようと思えばできるんだ。去年からいろいろなことが変わって、たぶんうまくいくようになったんだろう。これから数日間、様子を見よう」とグリアジンは語っている。
元シトロエン・ワークスのドライバーであり、昨年のベルギー・チャンピオンのステファン・ルフェーブル(シトロエンC3 Rally2)が1.6秒という僅差の3位で続いている。ロッセルはSS1のスタートでエンストするような症状で失速し、5秒のタイムロスを喫したことを悔やんでいる。「どうしてそうなったのかわからないが、なにかおかしくて手間取ってしまった。僕はアマチュアなんだ」とロッセルは語った。
スペインの新鋭ペペ・ロペス(ヒョンデi20 N Rally2)が4位で続いており、Mスポーツの新しいカラーリングとなったフォード・フィエスタRally2を駆るフールモーが初日は5位で静かなスタートをみせている。
27歳のフールモーは、昨シーズン、Mスポーツ・フォードでRally1を参戦することになったが、相次ぐリタイアにより、同チームのWRC2ラインナップに降格し、今年は新たにチームに加入したグレゴワール・ミュンスターとともにシリーズに参戦する。
フールモーは2022年のモンテでは激しいクラッシュに見舞われているが、2020年のこのイベントではWRC初参戦にもかかわらず、WRC2で2位でフィニッシュ、一躍世界に注目されており、ワークスチームに将来復帰するための足がかりを作るためにも、今回はその実力をしっかりとアピールしなければならないだろう。
「モンテカルロはもちろん、選手権の中で最も有名で、シーズンの幕開けにふさわしい素晴らしいイベントだ。トリッキーで変化しやすいロードコンディション、そして雪や凍結した状態もあって、さまざまな影響を受ける、シーズンの中でも最も難しいラリーだ。またRally2カーで参戦して、自分たちがどこまでできるのか、楽しみだよ」とフールモーは語っている。
オリヴァー・ソルベルグも、フールモーと同様にワークスチームへの復活を狙っている。ヒョンデを離れることになった彼は、今季はトークスポーツのシュコダ・ファビアRS Rally2でラリー・スウェーデン以降WRC2に参戦するため、このモンテではポイント獲得のイベントとして登録していない。
ソルベルグは最初のステージではRally2カーで5番手タイムでスタートしたが、2つめのステージでパンクに見舞われてしまい、2分近く遅れたクラス21位となってしまっている。
元ヨーロッパラリーチャンピオンのクリス・イングラムは、トクスポートが準備したシュコダ・ファビアRally2エボを駆り、フールモーからさらに6.4秒差の6位、チェコの新星エリック・ツァイス(シュコダ・ファビアRS Rally2)は7位で続いている。
このラウンドをポイント対象としないことを選択したフィンランドの若手ドライバー、サミ・パヤリ(シュコダ・ファビアRS Rally2)は食中毒のためにモンテ参戦を中止し、スウェーデンに帰ってくる予定だ。