WRC2016/04/23

VWがアルゼンチンDAY1を1-2で発進

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 世界ラリー選手権第4戦ラリー・アルゼンチンのDAY1は、ヤリ-マティ・ラトバラがチームメイトのセバスチャン・オジエに対して7.9秒をリード、フォルクスワーゲン・モータースポーツの2台のポロR WRCが1-2を占める展開となっている。

 ラリー・アルゼンチンは木曜日夜にコルドバ市街地で行われたスーパーSSで開幕、金曜日から本格なステージへと舞台を移して戦いの火蓋が切られることになる。オープニングステージとなるカラムチタ渓谷に設けられた24.71kmのソコンチョ〜ビージャ・デル・ディケでは、木曜日のスーパーSSでダニエル・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)と首位をわけあってスタートしたオジエが、一番手からのスタートにもかかわらずベストタイムで発進、リヤバンパーを壊したソルドとともにシェイクダウンでトップタイムを奪ったヘイデン・パッドンの2台のヒュンダイi20 WRCが2秒差で続く展開でスタートすることになる。

 しかし、オジエは朝霧ですこし湿ったコンディションのなかでスタートした最初のステージこそ路面掃除のハンデを免れることになったが、続くSS3サンタ・ローザ〜サン・アグスティンではどうにか首位をキープしたものの、パッドンに0.6秒差まで詰め寄られ、さらに6番手という後方からの有利なポジションを味方にベストタイムを奪ったラトバラが4.3秒差の3位に一気に浮上してきた。

 さらにラトバラは次のSS4でも連続してベストタイムを奪い、一気にパッドンとオジエを抜き去って首位へと躍り出し、2位のパッドンに5.4秒、3位のオジエに6.9秒差を築いて朝のループを終えることになった。

 サービスに戻ったオジエは、「朝のループはうまくいったが、午後になればコンディションは僕にとって悪くなるだろう。本当のバトルとはいかないね」と語り、晴れて気温が20度を超えてますますドライになるステージでの苦戦を予想する。

 午後のループの最初のステージはパッドンがこのラリー初のベストタイムでスタート、オジエは「できることはすべてやった」と語ったほどのギリギリの走りをみせて0.1秒差の2番手タイムにとどめたが、次のSS7、8とふたたび連続してラトバラがベストタイムを奪取する。けっきょく、金曜日に4つのベストタイムを奪ったラトバラが、2位のオジエに7.9秒、3位のパッドンには11.4秒差を築いて初日を終えることになった。

 パッドンはSS7の終盤ではあまりにラフなコンディションのなか、「速すぎる気がしたのでペースを落とした」というほどクリーンな走りをみせており、「先はまだ長い」と余裕の表情をみせている。

 また、ウォータースプラッシュでコクピットに水が進入してフロントガラスが曇るトラブルと戦ったアンドレアス・ミケルセン(VWポロR WRC)が終日クリーンな走りをキープ、首位から25.7秒遅れの4位をキープすることになった。

 いっぽう、好調なパッドンと対照的にヒュンダイのチームメイトにはそろってSS4で不運が襲い掛かっていた。SS3からエンジンが時折ストップする症状に見舞われていたティエリー・ヌーヴィル(ヒュンダイi20 WRC)はSS4で完全にマシンをストップ、どうにか再スタートを切ったものの、6分をロスして20位まで後退。ソルドも同じステージでスロットルペダルが反応しないトラブルによって首位争いから5位まで順位を落とすことになってしまった。

 ヒュンダイに相次いだトラブルは、昨年のこのイベントでVWに連続して発生したインジェクターの欠陥のような複雑な問題のようにも見えたが、この日のデイサービスでヌーヴィルは燃圧センサーの接続ミスであることが判明、ソルドはフロアパンのダメージによってスロットルに問題が起きるという異なる原因だったことが明らかになっている。

 しかし、こうした問題によってナーバスになったソルドは午後になったラフなステージでは自信をもって攻めることができなくなり5位でフィニッシュ、ヌーヴィルはSS5でトップタイムを奪うなど、反撃のチャンスを探っているようにもみえたが、午後のステージでふたたびアイドリングが安定しない問題がエンジンに発生し、10位で初日を終えることになった。

 Mスポーツ・ワールドラリーチームにとっては冴えない初日となってしまった。チームはマッピングの問題を改善したエンジンを投入して表彰台争いを期待していたものの、マッズ・オストベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)は淡々とただ完走を目指すような走りで初日6位にとどまり、チームから完走のプレッシャーを掛けられているエリック・カミリーも5分30秒近く遅れた8位となっている。

 スウェーデン以来の参戦となるヘニング・ソルベルグ(フォード・フィエスタRS WRC)は初日7位、PHスポールのシトロエンDS3 WRCを駆って母国アルゼンチンから出場したマルコス・リガトは、サンタ・ローザのウォータースプラッシュにオーバースピードで進入したあとコースオフ、フロントを大きく壊したものの、どうにかリタイアを免れて9位で続いている。

 DMACKラリーチームのオット・タナク(フォード・フィエスタRS WRC)はエンジンのパワーを失う不可解なトラブルに見舞われたあと、SS4でオルタネーターベルトが断裂、ロードセクションで修理を行ったもののタイムアウトでリタイアとなっている。

 明日の土曜日は北西部のプニージャ渓谷のラリー最長となる38.68kmのロス・ヒガンティスをはじめとした6SS/157.82kmが予定されている。気温は30度近くまで上昇すると見られており、一番手スタートのオジエにとっては今日以上に路面掃除が苦しい一日となることが予想されている。