WRC2020/05/12

アダモ、「タナクは私に少し似ている」

(c)Hyundai

 ヒュンダイ・モータースポーツのアンドレア・アダモは、オイット・タナクがメディアに対してぶっきらぼうであったり、勝利を強く追い求めている点では自身に少し似ていると告白した。

 タナクがトヨタからヒュンダイに移ったことは昨年のシーズン全体での最大の衝撃だった。アダモはその当時のことについて、以前、タナクと2020年に関する約束があったにもかかわらず、メディアの追撃から逃げるために冷えた関係を装い続けてきたことを明かしている。

 新チャンピオンがタイトルを獲得したチームを離れる理由について、当時、さまざまな噂が駆け巡ったが、アダモは、タナクとの交渉はメディアが書き立てたものよりもはるかに単純で、タナクからはプライベートジェットなど要求されていないと笑った。

「タナクとの契約実現は困難ではなかったが、もちろん、経済的な面で解決しなければならないことがいくつかあった。メディアはヒュンダイが彼を手に入れるために使ったであろうお金について書き立てていた。プライベートジェットなんていう記事を読んで、笑ってしまったよ。でたらめが沢山書かれていた」とアダモは語った。

「良いことは、私と同じだけ勝利への意欲を持つ男を見つけたことだ。チームにはティエリー・ヌーヴィルのような男もいた。結局のところ、言わせてもらえば、オイットは私に少し似ている。彼は人前で冗談を言ったり、社交的なタイプではなく、私と同じように勝つ意志を持った男だ。我々はラリーをすることに関してプロフェッショナルな人々を集めている。なぜなら、我々は勝つためにここにいるからだ。人々を笑わせたり、良い雰囲気を保つためではない」

 アダモは、タナクがときどきヒュンダイのマシンについて不平を言うのは最高の結果を出したいと強く追い求めているためだということを理解している。

「オイットは最高になりたいことを隠していない。そのようなドライバーと対話するのは簡単なことだ。トップドライバーはそういうものだし、利己的でなければトップドライバーではない。私はそれを理解している」とアダモは語った。

「ドライバーが不平を言ったり、主張したり、疑問を口にしたりしなくなったら終わりだ。つまりそれは、勝ちたいという意欲が月並みになったということだからね。私には子供がいないので、子供の扱いは分からないが、親たちは怒るとき、そして一歩下がるべきとき、その限界がどこにあるかを知っている。私はドライバーでもちょうどこういう感じなのだなと思うときがあるよ」

「もちろん私はこういう性格なので、計画がうまくいかない時に、(タナクに対して)何かを言うことはできない。私は皆が一番に話をしたいと思うような親切で楽しいタイプの人間ではなく、勝つためにここにいるが、少なくとも私はデスクに座っている。我々は、彼らドライバーが森の中や泥の中を、約400馬力のマシンで時速200kmでドライブし、命をかけて勝利のために戦っていることを理解しなくてはならない。そして、もしステージの最後に問題が発生した場合、人々は、どうして他の人よりもハンドブレーキを強く引いたのかと尋ねてくるんだ! 私はそれに対するドライバーたちの反応を理解できるよ」

「もしもすべてのドライバーが『いいステージだったので、もっと速く走れると思う』と言ったら、私の景色は退屈になると思う。だから、オイットがステージのトップタイムを叩き出しつつも『マシンが良くない』と言うたびに、私は笑顔になるよ」