WRC2021/02/10

アークティック、コース担当者が語る開催の舞台裏

(c)WRC promotor/wrc.com

(c)Arctic Rally Finland

 2週間後、FIA世界ラリー選手権は49年の歴史の中でも最も北へと旅立つ。凍てつくラップランドの田園地帯で、2月26日から28日にかけて、アークティック・ラリー・フィンランドが開催される。

 クラーク・オブ・ザ・コースを務めるカイ・タルカイネンが、ロヴァニエミを拠点とするこのイベントで何がWRCのスター選手たちを待ち受けるのか、そして、わずか数週間で新しいラリーを構築することへの挑戦について語った。

―カイ、WRCのドライバーたちは長年、ラリー・スウェーデンを冬の風物詩として楽しんできました。フィンランド北部のステージはスウェーデンの森と比べてどうですか?

「道路の性質が全く違うと思う。非常にツイスティでナローで、常に木に囲まれているようなセクションがある。それから、高速で走るワイドなセクションもある。私は金曜日の最初のステージ、サリオヤルヴィが気に入っている。スタートからゴールまで、時速200km/hを超えるジェットコースターのような壮大なステージだ。ドライバーたちにとってもお気に入りのステージになるだろう」

―選手たちが直面するであろう大きな困難は何ですか?

「もちろん、まだ真冬なので、晴れていれば午後からは日差しが弱くなるし、太陽が真正面にあると視界が悪くなる。雪の中での夜の運転は、多くのドライバーにとって新しい経験になるだろう。周りは白い雪に囲まれているので、実際にはよく見えていても、反射してしまうことが多い。さらに、夜の気温が冷え込んでいたら、スノーダストが舞って視界が悪くなるかもしれない」

―多くのステージが、先月開催された姉妹イベントのアークティック・ラップランド・ラリーでも使用されています。道路のコンディションはどうですか?

「フィンランド選手権のイベントであるアークティック・ラップランド・ラリーの直後の日曜日に走行したが、ほとんどのステージが使用されたことが分からないくらい良いコンディションだった。週末に130台のマシンが通過するのに耐えられるように、開催前からしっかりと準備されていたことに驚いた。それらはすでに『真新しい』状態だった」

「この地域は真冬だ。フィンランド選手権の後、ステージが走るエリアには30〜40cmの新雪が積もっている。非常にふわふわで柔らかい雪で、あまり圧雪されない。でも、ちゃんとスノーバンクがある。ドライバーの皆は先月からネットにアップされている動画を見ていると思うが、今とはだいぶ違っているだろう。新雪が除雪されるとバンクは高くなり、思うように雪を押し出せなくなるので道幅は狭くなる」

―ステージはアークティック・ラップランド・ラリーと同じですか?

「アイッタヤルヴィのパワーステージはほぼ同じだが、それ以外のステージはすべて逆方向だ。土曜日のムスタランピのステージは近年使用されていない箇所が多く、今までに使用されたことのない箇所もある」

―このルートに満足していますか?

「満足している。ステージの大半はすでに慣れ親しんだものだったので、WRCのイベントで何を使うかを考えるのは簡単だった。フィンランド選手権のイベントの多くは軍のリハーサルエリアで行われており、この期間にはすでに演習が計画されていたため、欲しかった道をすべて確保することはできなかったが、選択肢は山のようにあったので、問題ない」

―ラリーがWRCイベントとして確定したのが1月14日なので、1年分の準備が数週間に凝縮されています。大変でしたか?

「大変な努力をしてきた。フィンランド選手権のイベントがテンプレートとして用意されていたことと、ロヴァニエミの経験豊富な運営チームに助けられたことは非常に幸運だった。国の南側で仕事をしていて、北側で何かを作ろうとすると、何日もかけて移動することになる。ヘルシンキから車で来た場合、片道10時間も車の中に座っていることになる。幸運なことに、ここには非常に良いチームがあり、我々の考え方や働き方をすぐに理解してくれた」

「仕事を始める前に、スウェーデンが当局の許可を得られないことを確認したかった。そのため、12月15日の時点で作業を開始した。クリスマス前後の2〜3週間というタイミングは、人を集めて何かを動かすには悪夢だった。皆、留守だったからね!また、ロヴァニエミの人たちは1月中旬に行われるフィンランド選手権のイベントをまとめるためにまだ一生懸命働いていたので、我々は彼らの邪魔にならないようにしたかった」

―パンデミックの影響はどの程度あったのでしょうか?

「一番大きかったのは、安全衛生当局に、FIAとWRCプロモーターが選手権全体、そして参加者とすべてのステークホルダーの安全のためにどれだけ献身的に取り組んでいるかを理解してもらい、我々にその方式でラリーを実行する能力があることを確信してもらうことだ。フィンランドの辺境警備隊と協力して、イベントのために人々を入国させるのには多くの時間がかかったし、それは今も継続している。フィンランドは現在、かなり閉鎖的な国なので、入国するには、国へ招待する許可を持った人物からの招待状が必要になる。そのためには人手が必要で、このプロセスは大変な労力と費用がかかった」