WRC2020/03/17

オジエ、「ラリーを行うべきではなかった」

(c)Toyota

 トヨタGAZOOレーシングWRTのセバスチャン・オジエは、ラリー・メキシコで通算6勝目というセバスチャン・ローブの記録に並ぶメモリアルウインを飾ったにもかかわらず、一度はラリーのスタートをキャンセルすることまで悩んだと明かし、「勝利は勝利だが、いつもの勝利ではない」と複雑な感情を吐露した。

 オジエは木曜日朝のシェイクダウンでもコロナウイルス感染症が世界中で広がっている状況のなかでラリーを走ることに疑問があると語り、ラリーを棄権する可能性を示唆したが、彼はチームと話し合ったあと、プロ意識の高さを証明するように完璧な集中力をみせてラリーに臨むことになった。

 そして土曜日、ラリーは最終日を切り上げて早期にゴールを迎えることが決定されるなか、オジエはオイット・タナクに27.8秒差をつけて、トヨタへ移籍後初の勝利、自身にとって48回目の勝利を飾ることになった。

 しかし、待望の勝利を決めたステージエンドではマシンの消毒が行われるという異常なゴールとなり、オジエはいつものようにジュリアン・イングラシアとルーフトップで優勝を喜びあうことはなく、彼は勝利を祝う気持ちではないと繰り返した。

「もちろん勝利は勝利だが、この勝利はほかとはまったく異なるものに感じる。ファンを危険にさらした場合、この勝利には価値はない。僕たちがメキシコの友人たちにいかなる害も及ぼしていないことを願う」とオジエは語った。

「このラリーは開催すべきではなかったと思っているし、基本的に僕はレースをしたくなかった。しかし、そうするように説得され、自分の仕事をしたが、僕としては人命を守ることが最優先であるべきだと思っている。ファンを危険にさらした場合、この勝利には価値はない。僕たちがメキシコの友人たちにいかなる害も及ぼしていないことを願う」

 オジエはトヨタとの初勝利を祝うことを待ち望んできたと語り、心からチームとともに勝利を祝うことができる日が早くくることを望んでいると語った。

「もちろん僕はトヨタとの初勝利を祝うことを待ち望んできた。もちろん勝利は勝利だが、複雑な感情の勝利になった。チームに感謝したい。彼らは素晴らしい仕事をした。いまはチームとの初勝利を祝う時ではないが、それはまた次にとっておこう。可能な限り早く次のラウンドが開催できることを祈っている」