ERC2018/10/15

グリアジン、ERCジュニアU28王座獲得

(c)ERC

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 スポーツ・レーシング・テクノロジーズのシュコダ・ファビアR5を駆ったロシアのニコライ・グリアジンが、ヨーロッパ選手権最終戦のラリー・リエパーヤで総合優勝を飾るとともに、ERCジュニア・アンダー28選手権のチャンピオンに輝くことになった。ラリー・リエパーヤで今季4勝目を獲得したグリアジンは、最大で156ポイントの獲得が可能なジュニアU28で154ポイントを獲得、ほぼ完璧な王者達成となった。

 ロシア出身のグリアジンだが、ジュニア時代からラトビアでラリーを学び、ドライビングライセンスもラトビアで取得していただけあって、彼にとってラリー・リエパーヤはホームイベントといってもいいほど慣れ親しんだ舞台だ。

 先週21歳の誕生日を迎えたグリアジンは初日、6SSのうち5ステージにおいてベストタイムを奪ってジュニアU28選手権の2位につけているイギリスのクリス・イングラム(シュコダ・ファビアR5)に対して19秒のリードを築いたが、最終日もオープニングステージでベストタイムを奪ってスタートすることになった。

 グリアジンは続くSS8でもベストタイムを重ねたが、SS9では路面に転がり出した石を避けきれずにヒット、前日の最終ステージのようなパンクを一瞬心配したようだが、幸いにも事無きを得ており、朝のループでは3連続ベストタイムでリードを36.8秒へと拡大している。

 2位で続くイングラムにとってジュニアU28でタイトルを獲得するためにはグリアジンを抜いて勝利するしか道は残されてない。彼は逆転の可能性に賭けて朝からプッシュを続けてきたが、SS9の終盤近くでステージの真ん中にあった石を避けるためにコースオフ、2輪をディッチに落としてあわやの瞬間にも見舞われており、「これだけ広がってしまったギャップはどうすることもできない」と追撃を断念することになった。

 荒れたコンディションとなった午後のループで、グリアジンもクリーンな走りに集中することになり、最終的にイングラムとの差を43.3秒へと広げてERC総合では前戦ポーランドに続いて今季2勝目、ERCジュニアU28では4勝目を飾ってタイトルを獲得することになった。

「僕はあまり感情を示さないほうだが、チャンピオンになれて本当に素晴らしい気持ちだよ!ラリーではフィニッシュすることが目的だったからね。タイトルを達成できてよかったよ。僕らには優れた戦略があり、各イベントのための完全な準備をやってきた。やっと今夜はゆっくり寝られるよ!」

 イングラムも選手権2位をキープするためにセーフティモードで午後のループをフィニッシュ、タイトルには届かなかったが、2位の表彰台と自身のグラベルにおける高い経験値を積むことができたシーズンのエンディングを迎えることができたことを喜んでいる。

「僕らにとっては信じられないようなラリーになった。信じられないくらい速いドライブを続けてきたからね。たくさんの経験を積むことができたし、この結果に不満はまったくないよ」

 いっぽう、3位争いは劇的なクライマックスを迎えることとなった。最終日を3位で迎えたシュコダ・アウト・ドイッチュランドのファビアン・クライム(シュコダ・ファビアR5)は、計算上はジュニアU28の逆転タイトルの可能性を残してラリーをスタートしていたが、すでにデイ1首位のボーナスポイントが獲得できなかっために王者のチャンスは消えているものの、イングラムを捕らえて自身が2位になれば選手権2位の可能性は十分に残されている。だが、クライムはオープニングSSのジャンプのあとのジャンクションでミス、フレデリック・オーリン(シュコダ・ファビアR5)に抜かれることになってしまった。

 オーリンはSS10のベストタイムでクライムを突き放そうと試みるも、クライムもSS11のベストタイムで応酬、最終ステージを前にクライムが0.1秒差でリードを奪い返す緊迫の戦いとなった。

 そして迎えた最終ステージ、クライムは逃げ切るべく激しくアタックを試みたものの、バンクに落ちてしまいタイムをロス、8.2秒差をつけたオーリンが3位でフィニッシュすることになった。

 5位にはポーランドのウーカシュ・ハバイ(シュコダ・ファビアR5)、6位にはACCRチェコ・ラリーチームのフィリップ・マレシュ(シュコダ・ファビアR5)が続いており、ノルウェーのエイヴィンド・ブリニルドセン(フォード・フィエスタR5)はSS5でハバイを抜いて5位に浮上した直後にクラッシュでリタイアとなってしまった。

 ジュニアU27選手権はオペル・ジュニア・ラリーチームのトム・クリステンソン(オペル・アダムR2)が前日のリードをキープして優勝。地元のマーティンシュ・セスクス(オペル・アダムR2)は2位に終わったが、前戦で獲得したERCジュニアU27王者に続き、ERC3のタイトルも確定、さらにラトビア選手権のジュニアカテゴリーでも激しいバトルとなっていたオリヴァー・ソルベルグ(プジョー208 R2)がエンジントラブルでリタイアとなったため、こちらもチャンピオンを決めている。