WRC2022/11/28

コヴァライネン、「日本で大切な一歩を記した」

(c)WRC Promoter/wrc.com

 元F1ドライバーのヘイッキ・コヴァライネンの走りをヨーロッパのラリーでも見ることができるようになるだろうか。ラリー・ジャパンでWRCデビューを果たした彼は、それを願っていることを認めた。

 ラリーチーム・アイセロのシュコダ・ファビアR5を駆って全日本ラリー選手権のチャンピオンに輝いたコヴァライネンは、ラリー・ジャパンのWRC2カテゴリに挑み、旧スペックのファビアを駆りながらも、経験豊富なライバルたちと競い合い、優勝したグレゴワール・ミュンスターから僅か1分9秒遅れの4位でフィニッシュした。

 41歳のコヴァライネンは、ジャパンへの参戦によってWRCに出場したいという夢が実現したと語り、さらにラリーが好きになったことを認めた。

「素晴らしい経験だったよ。テレビで世界ラリー選手権を長年見てきたし、ずっとラリーの大ファンだった。このイベントに参加できたことは、まさに夢のようだ」とコヴァライネンは語った。

 コヴァライネンは、全日本ラリー選手権はWRCイベントへのステップアップとして学ぶことが沢山あったと認めた。

「(ラリー・ジャパンは)ほぼ1週間という長丁場だ」と彼は説明した。「全日本選手権では、金曜日にレッキを行い、土曜日と日曜日に60kmから120kmのステージを走る」

「ラリー・ジャパンは全体として、ずっと長く、より大きなイベントだ。道路に関しては日本選手権と非常に似ており、特に曲がりくねった道路は僕にとって目新しいものではない。しかし、ここまで高速で雨だったのは初めてだ」

 コヴァライネンが日本でラリーに参戦してきた過去6年間で、ウエットコンディションになったのは1日だけだったという。

 コヴァライネンにとって、ラリー・ジャパンへの参戦は戦略的な決断であり、彼は今後の参戦を増やすためのより多くの選択肢を視野に入れている。

「面白いことに、僕はフィンランド出身だが、日本のことをよく知っている。それは大きな違いを生んだことは確かだ。幻想は抱いていない。もし他の国へ行ったら、もっと大変で、もっと難しい仕事になると思っている。だから、このラリーを選んだ。僕たちは小さなチームだし、僕はまだラリーの経験が浅いから、ラリーの光景や道を知っているここがベストなスタート地点だと思った」

 過去8年間アブダビに住んでいたコヴァライネンは、故郷のフィンランドに戻り、F1コメンテーターの仕事を始めたばかりだ。しかし、彼はフルシーズンを行なうことはないと強調しつつも、ラリーのために時間を割くために国内レベルからスタートする可能性があることを認めた。

「フィンランド選手権はかなり競争が激しいし、参戦するのは楽しいだろう。道はかなり違うので学ぶことはたくさんあるが、そのためにいいパッケージを見つけられるかどうか検討したい。まだここ日本で何かをするかもしれない。アイセロにはとても満足しているし、彼らはここでもっと仕事をしたいと言ってくれている。ここは僕にとって、比較的馴染みのある場所なんだ。より多くのラリーができるほうが良い」

 では、ラリー・フィンランドを走ることも来年の選択肢のひとつなのだろうか?

「先日、車で通り過ぎたんだ。フィンランドの北から南へドライブしていて、ユヴァスキュラを通った。オウニンポウヤのジャンクションが目に入ったので、妻に『この道知ってる?』って聞くと、彼女でさえ知っていた」

「見に行こうかと尋ねたら、『いまはヘルシンキに行きましょう』と言われたよ」とコヴァライネンは微笑んだ。

「もちろん今すぐにラリー・フィンランドを走るということではない。しかし、日本で大切な一歩を記したし、大きな期待ではなく、一歩一歩というのが僕たちにとって正しいアプローチだと思う。もちろん僕はもう歳をとっているし、ワールドチャンピオンになることはないだろうけど、それでもラリーでのキャリアを推し進めることには価値があると感じている。そして、いつかはラリー・フィンランドに出られたら素晴らしいと思っている」とコヴァライネンは付け加えている。