WRC2022/11/28

ハマライネン、病気を克服して王者に

(c)WRC promoter/wrc.com

 フォーラムエイト・ラリー・ジャパンで世界王者に輝いた、リータ・ハマライネンの顔から笑顔が消えることはなかった。ハマライネンはエミル・リンドホルムのコドライバーとして、ともにシーズン最終戦を見事に戦い抜いてWRC2チャンピオンの栄冠を獲得することになった。二人にとってはWRC2ジュニアのタイトルに続く栄誉であり、数年前に大きな病を患ったハマライネンにとっては信じられない瞬間だっただろう。

「本当にすごいことで、まだ実感が湧かない」とハマライネンは新たに手にした世界選手権のタイトルを噛みしめようと顔を輝かせながら語っている。「信じられない、もう本当に最高よ」

 タイトル争いを演じてきたカイエタン・カイエタノヴィッチがラリー・ジャパンの2つ目のステージで脱落した後、リンドホルムとハマライネンは、ポイントリーダーで前年王者のアンドレアス・ミケルセンからタイトルを奪い取るためには5位以上でフィニッシュする必要があることは理解していた。

「これは普通のラリーだという見方をしていた」とハマライネンは説明している。「私たちは何をすべきなのか、そしてどの位置でフィニッシュしなければならないのか、分かっていた。世界タイトルを獲るためには最低5位に入る必要があったことは分かっていた、そして常にそれが目標となっていた」

 リンドホルムとハマライネンはWRC2のトップで迎えた最終日、終盤の雨でウェットで滑りやすくなったコンディションで3位まで後退してフィニッシュすることになった。

「土曜日のことは本当にラッキーだった。日曜日は雨の中であのようなタイヤのミスで、最後の2つのステージではかなりのタイムを失ってしまったから」と、ハマライネンはふりかえっている。
 WRC2でのルーキーイヤーで、そしてさらにコンビを組んでから2年目のシーズンでの快挙である。この瞬間は34歳となる彼女にとってはこれまでの彼女のキャリアを振り返る絶好の機会を提供することになる。特にがんとの闘病でコドライバーを続けていけるかどうか分からなかった2019年当時からは。

「病気になること、健康を失うことは個人的なことで、人それぞれに違うことだけど、私はもちろん、そこから学ぶことができた」

「悪いことではあったけど、すべてが悪いことばかりでもはなかった。だからこそこうした時間をもっと大切に思えるし、本当に好きなことだってできる」

「今回のこと?とにかくただただすごいことよ。正直に言って、ここに来ることは想像できなかった。だって2019年に本当に病状が思わしくなかった頃、もうそれっきりになるかと思っていた。自分の健康状態ではもうラリーは続けられないと思っていたけど、幸いにも私は間違っていたみたい」

 ハマライネンは、この一年の間にラリーの高いレベルに足跡を残した唯一の女性ではない。そして彼女はそんな仲間の功績についても語っている。

「昨年(そして今年もまた)サラ・フェルナンデスがヨーロッパ選手権でタイトルに輝いている。私は彼女のことは知っているけど、彼女はすごく努力家で、それは間違いなく彼女自身獲るべくして獲ったものだわ」

「それからモンテカルロでローブと組んでいたイサベル(・ガルミッシュ)もすごかった。(女性としてWRCイベントに勝利したのはファブリツィア・ポンス以来となる歴史的な勝利だった)

「彼女たちは皆アイドルよ、イルカ・ミノルも含め、アイドルね。まだまだいろいろと素晴らしい活躍をしている女性がいる。エンニ・マルコネン(WRC3コドライバーチャンピオン)も素晴らしい仕事をしているし、ここに同じ女性の仲間がいてくれるのは本当にいい」

 WRCで女性の活躍が目立ってきているのはクルマの中だけではなく、サービスベイの方でも同様である。ハマライネンはトークスポーツのメカニック、アレクサンドラ・フェルナンデスについても特に言及している。

「彼女は最高のメカニックの一人でチームに素晴らしいスピリットをもたらしてくれる。見事なまでにチームにポジティブな雰囲気を与えているわね」