WRC2018/05/12

日本車初の海外ラリーに出場した神之村氏が逝去

(c)Toyota

 トヨタ・モータースポーツの原点のイベントとされる1957年と58年の豪州一周ラリーにトヨペット・クラウンで参加した神之村邦夫さん(左)がこの5月9日に逝去された。享年87。

 1953年に始まった豪州一周ラリーは、当初はシドニーを軸にした比較的コンパクトなスケールで行われていたが、やがてオーストラリア全土にコースを広げ、周辺の広大なアウトバックを舞台にした長距離耐久ラリーとして世界的にも注目される存在となり、1957年のイベントは、メルボルンをスタート、豪州大陸約1万7千キロを19日間で走破するという厳しい戦いだった。

 参戦したトヨペット・クラウンは1955年に市販が開始された。排気量はわずか1453ccで48hpという時代を感じさせるスペックだったが、神之村邦夫さんと近藤幸次郎さんがドライバーとして乗車、ナビゲーターとして現地のリンゼイ・ヘドリーが参加して、特別なサービスチームが同行することなく、この3人でこのタフなレースを完走することになった。

 このトヨタによる初めての世界への挑戦は、日本のモータースポーツの夜明けとされる第一回日本グランプリが開催される実に6年前のことであり、日本車にとっての初めての海外モータースポーツ参戦となった。

 トヨタGAZOOレーシングの世界ラリー選手権への挑戦が1年前から始まっているが、「世界の道で技術を磨く」ことの原点は、このトヨペット・クラウンと豪州一周ラリーへの挑戦にある。ご冥福をお祈りしたい。